「そうだなあ。無理矢理するのもいいけど、こんなガチガチな体を抱いてもつまんないだろうから……」 「っ！」 　ローションを掌へと垂らす伊織の姿を見上げる航太は、悔しさのあまり奥歯をギリリと噛みしめる。赤く腫れた臀部を撫でられ、その冷たさに震えると、喉を鳴らして笑った伊織は躊躇もせずに航太のアナルへと長い指を挿し入れてきた。 「んっ……くぅ」 「気持ち悪いよな。他人に内側触られてるんだから」 　仰向けに転がされているから、脚の間に座る伊織の動きは嫌でも目に入る。起きあがって頭突きくらいはできそうだと思った航太が、腹筋へと力を込めると、「ホント馬鹿だな」と声がしたあとで体を伏せに返された。 「そんなところが可愛いって思う俺も、結構航太にはまってるのかもしれない」 「うっ……や、やめ……」 　後孔をいじる指の数が増やされ航太は逃げようとする。これは、意志というよりも本能的な行動だったが、すぐに首輪が背後へと引かれペニスと強く掴まれた。 「チクショー！　んで、なんで俺がっ」 　吐き気と眩暈、それからペニスを襲う激しい痛みの中で、航太の精神は既に壊れかけている。だが、それでも自我を保てているのは、伊織に対する強い怒りがあるからだ。 「ごめん。でも、これは航太の為なんだ。あとでいくらでも殴っていいから、とりあえず今は言うこと聞いて」 「なっ……」 　紡がれた謝罪の言葉に混乱はさらに大きくなる。今更そんなことを言われても、信じられるはずもない。 「こうでもしないと、航太は喧嘩をやめられないだろう？」 「んっ……ふぅ」 　切なげに響く甘い声音。それと同時に下半身からはグチュグチュという音が響き、中の一点を押された途端、航太の体は生まれはじめて感じる愉悦に打ち震えた。 「ようやく効いてきたかな」 「あっ……な、なに？」 　呟く声の意味を考える余裕もないほど、体が急激に熱を帯び、伊織の指を食んでいるアナルがヒクリヒクリと伸縮する。 「ここだろう？」 「あ、ああっ！」 　ついさっきまでは気持ち悪いだけだったのに、どうしてなのかと思いながらも、アナルの中で伊織の指がバラバラと動かされるたびに、そちらばかりに意識が向いて思考するのが困難になった。