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第1話 2/4
【Kamiya side】
「あぁ、ちーちゃん……………」
ここに、一人のいい年した眼鏡男が写真だらけの部屋で片膝をつき、祈りのようなポーズを捧げています。
「ちーちゃん、君は太陽の化身、愛と美の女神…………君が存在しなければ、この世界のすべての花は枯れ、鳥は空を忘れ唄を失くし、人々の微笑みは奪われるであろう。
あぁちーちゃん、この宇宙を包む、我が愛のすべて…………」
ここは星見ヶ丘商店街にある「神谷薬局」の裏に存在する、「神谷健康開発研究所」。
その地下の研究室、さらに奥の一つの部屋で謎の儀式を行う男。
彼は若くしてとある健康科学物質を発見し、開発、特許を取った上に本も出し、ブームの波に乗り巨万の富を得、しかしながら贅沢な生活や世間への露出を望まずひっそりと小さな商店街で表向きでは薬局を営んでいる男、神谷巧 博士であります。
この神谷博士が今現在情熱を傾けているのは、とある一人の男性。
「ふたば亭のちーちゃん」と呼ばれる定食屋の看板息子で、部屋に貼られた写真はどうやらすべて彼の姿であるようです。
奥の正面の大きな写真が貼られている場所は、さながら祭壇のよう。
「あぁ、神よ。あの天使を独り占めすることをお許しください、あまつさえ、あの清らかな天使を穢すことをお許しください。
さらに凌辱の限りを尽くし、我が性の奴隷として、」
「神谷博士、本日のスケジュールの確認を」
背後から、同じく白衣を着た男性が声をかけます。
「………なんだね市原くん。この部屋は神聖にして侵すべからずと言ってるはずだろう」
「その写真のすべてはわたくしが撮ったものですけどね」
冷静に答えるは、神谷(略)研究所にて神谷博士の助手として仕えている市原優一 くんです。
「ふふ………いよいよ今夜、決行というわけだね」
「はい、そういうことです」
「例の薬の投与はばっちりなんだろうね?」
「えぇ。彼は毎朝ジョギングしてますし、わたくしと同じ野球チームにも入ってます。
そのときに体にいい新作パンといい一週間渡し続け、食べる姿も見届けました」
神谷博士★恋の魔法薬
ときめきアップ! めろめろメロンパン❤
「これを食べたものは日に日に恋愛感情が高ぶり、男が欲しくなり、そして一週間後にピーク、その時に甘い言葉でイチコロ、と」
「さすが博士。緻密な計画に頭の下がる思いです(棒読み)」
その科学技術を駆使し、遂に「ふたば亭のちーちゃん」ゲット大作戦を決行するつもりであります。
「あの店が閉まるのは十時半ごろ………その時に裏出口で待ち伏せ、声をかけ愛の告白をすればちーちゃんは私のもの………そのままお持ち帰りしてさっそく縛り上げて写真を撮ろう。
食い込んだ縄跡もさぞや美しいであろう………あぁ、ちーちゃん………」
「神谷博士、勃起はまだ早いと思います」
星の美しい夜。
星見ヶ丘商店街に嵐の予感が訪れます。
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