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第2話 2/5

【Kamiya side】 「さぁちーちゃん………恥ずかしがらずにその全てをさらけ出しなさい」  神谷(略)研究所のテーブルにて、神谷博士は二体の人形を手にし、何か独り言をつぶやいています。 「(裏声)そ、そんな………ぼく恥ずかしいです、  (低声)ここまで来て何を言い出すんだね、いいから脱ぎなさい、  (裏声)ぼ、僕………まだ心の準備がっっ、  (低声)ほら見てごらん、私の方はもう準備万端だよ?、  (裏声)やっ、そっ………そんな…………、  (低声)ふふふ、どうだねちーちゃん、私のものをよーく見てごらん?  (裏声)あ、す、すごい………博士の、オオサンショウウオみたい………、  (低声)さぁ、そのまま触ってごらん? 硬さはリクガメ級だよ?  (裏声)あぁっ、博士………素敵っっ…………、」 「神谷博士、例のものを今朝、渡してきました」  そこに、助手の市原くんが入ってきます。 「………なんだね市原くん。神聖な儀式の途中で声をかけるのはタブーと言ってるだろう」 「健康を謳っているお方が寝食を忘れてやられては本末転倒ですよ」  博士を気遣いながら、市原くんは白衣を羽織ります。 「それに市原くん、ちーちゃんに想い人がいたなんて私は聞いてなかったぞ?」 「はい、それはわたくしのリサーチ不足でした、申し訳ございません(棒読み)。  ………あと余談ですが今日の彼の挙動を見て、多分今夜あの二人はズッコンバッk」 「うぉああああぁぁあああ!! それは言うんじゃない!!」  さえぎるように叫ぶと、神谷博士は壁に手をつき頭をゴンゴン打ち付けます。 「あぁあのおじゃま虫め!! 芋虫め!!! 害虫め!!!!  どうせちんこがプラナリア並みのあの男め!! 切っても切っても再生するあのウズムシめ………!!!!  私の大事なちーちゃんをぉぅ!! くそっ! くそっ!!」 「博士、壁と白衣に血飛沫が…………」  市原くんが冷静に神谷博士の手当てをします。 「ふ………まぁいい、恋人になってから使おうと思っていたものがこのタイミングで使えるなら、勝機は私に向いている」 神谷博士★恋の魔法薬 もふもふ装備! ぴょんぴょん麺❤ 「私は常々思っていたんだ………今でも十分可愛いが、そんなちーちゃんにウサギの耳を付けたらどんなに素晴らしいだろうかと。  …………市原くん、抜かりはないだろうね?」 「はい。しっかりスープまで摂取してもらうよう、彼に勧めました」 「ふふ………あの、今は仮の恋人の男…………素晴らしいうさ耳姿のちーちゃんからその美を見い出し、愛することができるかな?」  と、語りながら片方の人形を手に取り、丁寧にバニーちゃんの衣装を着せます。  ※ちなみに人形はちーちゃんの顔そっくりの特注品です。 「あぁ、ちーちゃん、ぴくぴく動く長~いおみみを付けたちーちゃん。まんまるでもふもふな尻尾を付けたちーちゃん。  ツンツン、って触っちゃったりなんかして。ち~ぃちゃん、ツンツン、って」 「博士、今度は鼻から血が…………あ、メールが来てる」  人形とたわむれる神谷博士をよそに、市原くんはスマホを見ます。  『カップ麺ありがとう! ごはんもやってみたよ、とってもおいしかった!!』  その画面を、市原くんは静かに見下ろすのでした。

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