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第4話 4/5
「ちちっ、ちーちゃん!? もう一度よーく考えてごらん? 私のこと、好き? 嫌い?」
『………よく考えても考えなくても、好きと思ってるし、嫌いと思ってるし…………』
「ってことは、ちーちゃんは…………」
んで、なんでかガックリと膝を落とす神谷。
ここにきて、急に曖昧な返事。そして神谷のリアクション。
好きでもあり、嫌いでもあり…………あ!
いつも何かあっても「心配しないで」と笑う千紘。
俺がちょっと怒ると「怒んないで」と目を潤ませる千紘。
可愛いと言われることを嫌がり、いつも俺のことを気にしてくれていて。
だから、これは。
「………思ってることと逆の言葉が出る薬………か?」
↑正解です。
神谷博士★恋の魔法薬
表裏逆転! 黒猫のダンゴ❤
てことは、神谷の言ってることは全部面白い冗談としか捉えていなくて、当然えっちもしたくない。
そして、そして…………
「………くくっ、ふははっっ!! それだ!! 神谷、立場逆転だ!!!
好きの反対は嫌いじゃなくて無関心、つまり! 千紘はオマエのことをハナっからなんとも思ってない証拠になってるんだ!!」
「!!!!!!!!!!!!」
「せめて嫌いとでも思われてりゃ報われてたってのにざまぁねぇな! おら白状しろ! 今回はどうやって元に戻すんだ、言いやがれ!!」
『…………聖司さん?』
半分白目をむいてる神谷の胸倉をつかんでると子機から千紘の声がする。
「千紘! オマエ、俺のことが嫌いなんだな?」
『そうだよ、大嫌いだよ』
「まさにえっちもしたくない、ってやつだな?」
『そうだよ、聖司さんとえっちなんて、絶対嫌』
「よしわかった! じゃ、今すぐ解毒方法聞いて帰るからな!
あれだもんな? 俺の顔も見たくないんだもんな?」
『ううん、見たいよ』
「え?」
いや、そこは「見たくない」、じゃね?
「いや、俺んちいんだろ? だから帰ってくる、から………」
『うん、待ってる』
「あ、会いたい、のか?」
『会いたいよ。聖司さんのこと嫌いだから、会いたいよ。顔が見たいの』
「………………………」
俺が好きなのに、会いたくない、顔を見たくない。
いや。好きだから、…………合わせる顔がない、ってことか。
「千紘待ってろ今すぐ帰るから!! …………ごるぁ神谷! 早く元に戻す方法を言いやがれ!!」
泡を吹いてる神谷にさらにゆすぶりをかける。
「ッチ、ま、おまえの作る薬なんざ、どうせえっちで解決、だろ? じゃ、今夜はツンツンプレイってのを楽しませてもらうことにするよ!」
「ふふふ、愚かな…………」
帰ろうとするとどうにか意識は取り戻したようで。
「私が何度も同じ解毒方法を開発すると思うかね?」
「、な、なんだってんだよ…………」
「毒を以て毒を制す、って言葉があるねぇ」
「それは知ってる、けど………」
「あと、ローラー作戦、とか………ふふふ。今日は試食デーだったそうじゃないか」
「そうだけど………オマエっ、まさか!?」
やっぱりあの商店街内のどれかに混ざってた、ってことか!?
「早いところだともうすぐ店仕舞いであろう、うん、売り切れも考えられる、」
「テメェついに商店街中に毒をまき散らしたのかこのA級戦犯野郎!! でも今日は俺の勝ちだからな!! つかいつも勝ってるけど!! もう何しても無駄だかんな!!!」
「ふふふ………あまり私を本気にさせない方がいい」
また狂った笑い声が聞こえたが当然無視して研究所を飛び出した。
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