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最終話 2/4

 ガチャッ…………  カーテンの向こうから、ドアの開く音がする。 「っ、神谷テメェ!」  ふらふらしつつも立ち上がり、カーテンをバッと開ける。  と。 「う…………ぢーぢゃん…………ずびっ」  すでにグズグズに泣いてる神谷の顔が目に入る。 「なっ、なんでテメェが泣いてんだよ」 「ぢーぢゃんが………わだじのぢーぢゃんが………うぅ」 「全っ部おまえがしでかしたことじゃねぇかよ、ふざけんな!!」  パコーン!!  ぶん殴る気力も失せつつスリッパで脳天を叩くが神谷はその場にうずくまってベソベソ泣いてるばかりで。 「おい神谷! これで千紘に何があったら本当に、」 「聖司さん、病院なのでお静かに」 「市原! おまえもおまえで、」 「ほら博士、これで落ち着いてください。お好きでしょう、たまごボーロ」 「うっ、うぅっ(カリポリ)………しょっぱい………」 「あーーーーもう!! なんなんだよ本当におまえ達はっっ!!」  違う意味でも頭がズキズキしてくる。 「ぅ………聖司、さん………」  背後の声にハッとする。 「千紘っ! 千紘大丈夫か!? いや、大丈夫じゃねぇよな」 「聖司さん、聖司さん、は………?」 「俺は平気だから。………おい神谷! どうしてくれるってんだよこれをっ、んがっ!」 「ちーちゃん! あぁちーちゃん!!!」  俺を突き飛ばして神谷が千紘にすがりつく。 「ああ我が太陽よ! 我が女神よ! おお神よ!」 「博士、博士も少々お静かに………」 「おっまえ好き勝手もいい加減にっ………、いだだだ、」  またひどい頭痛が襲ってうずくまる。  ………本当に何でこんなことになっちまったんだろう。  あれもこれも、何もかにも、全部この目の前にいる男のせいで………。  …………でも多分、治せるのもこの男しかいないわけで…………。 「…………神谷」  俺はうずくまった姿勢から改まって正座をする。 「………なんだね君は。まだそこで這い蹲ってるのかね。  そもそも貴様が邪魔をしなければちーちゃんはこんな目に遭わずに済んだのに」 「ちげぇよ逆だろ、千紘の意思を無視したおまえの薬のせいだろうがっ!  それ以前に………神谷、やっぱり俺だっておまえに千紘を譲るわけにはいかないんだよ」 「…………………………」 「あんたがどんだけ千紘を想ってるかはもう十分にわかったから………でももう、千紘の気持ちが揺るがないことだってわかってるだろ?  それでも千紘を治せるのはおまえしかいない、悔しいけど………だから、千紘だけはどうにか救ってくれよ。俺になんかぶち込むのは構わねぇから」  俺の身に何かあったって、千紘がいれば大丈夫なんだ。  千紘さえいれば俺は救われるんだから。  どんな苦難にだって耐えてみせる。  だから。 「お願いだから、………頼むから、千紘だけは助けてくれよ………頼む、この通りだ」  様々な怒りがこみ上げるし、なんでこんな男に、なんて情けなさもある。  それでも。………それでも。 「神谷、いや、博士、………千紘を助けてください!」  俺は神谷に土下座をした。

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