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きんたMARI yeah! 2 完
・コスチュームプレイ
・女装攻め
・二輪挿し
・尿道責め
ぽかんとしている恋人 の唇に、拒否の余地を残しながらゆっくりと顔を近付けた。済 し崩しのキスを彼は嫌がるかも知れない。
「やもっちゃん?」
「嫌なら拒否して」
「えっ、オレもやもっちゃんとキスしたいよ?」
聞き終えたか否か、夜守が意味を理解するより先に、少し乾いた唇が彼のそことぶつかった。力が強めで、恋人 から仕掛けた口付けは頭突きに似ている。薄い上唇が前歯に潰される。
「また失敗した。ごめんな?なんか、焦っちゃって……」
「じゃあ今度は俺からするよ?」
恋人 はこくりと頷いた。意識したのか拙 い口付けをした唇を彼は何度か舐めたり、浅く食 んだりした。
「やもっちゃ、」
甘えるよな声を出し、恋人 は夜守にしがみ付いた。
「どうした?」
彼は何でもないとばかりに首を振る。
「言って……?」
「オレ、やもっちゃんのコト、ホントに、好きだか、っんぅ」
訊いておきながら夜守はすべて言わせず、唇の弾力を楽しむ。普段は無邪気で、底抜けに明るく、少し間抜けでそそっかしいところがあるかと思えば、冷静で諦観したところもある。そういう発言や反応のある唇を確かめ、満足すると舌を伸ばす。
「やも、ひゃ………」
恋人が身を引いた。しかし夜守はその分の距離を詰め、唇の先が触れそうで触れない寸前で止まった。
「ごめん、止まらない」
「オレも………」
どちらからともなく口が塞がれ、互いの肉感が弾む。重なったところから融けていくようだった。しかしそこから微弱な痺れが起き、脳と腹奥へ二筋分かれていく。あらゆる角度や触れ方で、何度もひとつにしてきたにもかかわらず、まだ彼を味わい尽くせる方法があるのではないかと期待してしまう。結局その探究心は艶求に押し負け、隙間も作れないほど夜守は銀太を捕らえ奥の奥まで繋がった。竜巻きのような舌遣いで恋人は早いうちに力を失う。支えながら離れゆく口腔を追尾した。瞬時に恋人の口の中は水音を立て、甘い泉を作った。そこは不成者のような、それでいて優しく的確な舌によって汲まれども溢れども底が尽きない。
「ぁ……っふんン………」
愛しい人の手が夜守の肩を軽く叩く。縺れてどちらがどちらの舌だか分からなくなると、いじらしい力で噛まれて自分を知る。彼のことも十分に知った。
「ゃ……も、……っひゃ……………ぁ、」
腕に重みがかかる。銀太の首は据わらず、その唇は完全に夜守に委ねられた。戦慄いている腰を押さえて脚の間に膝を割り入れる。温もりが深く乗る。口を離す。だが濃厚に絡まった蜜が2人を放さない。
「苦しかったか」
「ぅう、」
悔しげに呻めき、銀太はぽすりと夜守に顔を埋めた。身体を鍛え、運動好きでよく外に出ては走ったり山登りをする銀太には持久力も肺活量も人並み以上あるのを夜守は見てきたが、キスとなるとそうではなかった。その理由を以前、聞いたことがある。「ドキドキするから」と彼は顔を真っ赤にして答え、夜守はまた夢中になって、終わりの見えないほどに口付けたものだった。
「もう一回するか」
「ダメ………もう。頭ボーっとする」
「かわいい」
鼻の頭に口付ける。とろんだ目は普段から少し子供っぽさのある表情に大人びた艶を与える。夜守の興奮は透明人間にも伝わり、巨大なクマのぬいぐるみが2人を襲った。
「やもっちゃぁ!」
「すまない。銀太があまりにも可愛くて、暴走した」
大きな作りのクマのぬいぐるみから恋人を庇う。夜守ごと後ろから抱き竦められる。薄く小さな尻にぬいぐるみの布と綿の感触がぶつかり、圧迫した。自分の情念によって銀太の持ってきた無邪気なぬいぐるみが卑猥な動きをしている。
「やもっちゃん、着ぐるみみたいでかわいい!あのな、オレ、やもっちゃんにも持ってきたの!」
銀太はまた罪の無い笑顔をみせ、巨大なぬいぐるみが這い出てきた袋を漁った。ビニール袋と見本写真は、有名なディスカウントショップに並んでいる安価で簡易的なコスチュームプレイ用のグッズだった。ミニスカート式のサンタクロースを思わせる赤と白の衣装が入っているらしかった。
「パパンと兄 が、男はこういうのが好きだって言ってたからさ!やもっちゃん絶対似合う!着てみなよ!」
「……銀太は好きなのか?こういうの」
「うん!やもっちゃんが着たらカワイイと思う!だってやもっちゃんなんでも似合うもん。どんな風になるのかなっていっぱい想像したんだ!」
「いっぱい、想像したのか」
恋人は目を真ん丸くしてまた顔を赤くした。
「へ、変な意味じゃないよ!」
「いいよ、変な意味でも。銀太にされるなら嬉しい」
口付けたばかりの柔らかくなった唇を銀太は揉み込むように食む。
「どんなふうな想像をしたんだ」
緊張している身体をさらに近付け、耳元で囁く。耳も首も、銀太は大雑把にみえて感じやすかった。
「ミニスカ履いてるやもっちゃんと、ちんこ擦り合うの……」
「気持ち良かった?」
こくりと素直に彼は頷く。
「どっちが先にイッたんだ?」
「オレ………」
「どこに出した?」
手やティッシュ、もしくはシーツやトイレ。そういう答えを求めていた。恋人を想い自慰に耽る銀太を、生々しく克明に描くために。
「やもっちゃんがスカートの中に出していいって言ったから、すごくコーフンして、スカートの中でいっぱい出た………」
恋人はさらに深く夜守に顔を埋め、落胆や失望によって逃げないようにか、彼の腕や肩を必死に掴んでいた。
「かわいい……銀太。きっと銀太の想像 の俺もすごく気持ち良かっただろうな。ありがとう」
前髪越しの額に唇を落とす。このログハウス調の家とは違うシャンプーの香りがした。銀太らしくない洒落た匂いはおそらくファッション雑誌のモデルような垢抜けながらも奇抜なセンスの光る4つ上の兄の洗髪剤らしかった。もう入浴は済ませているらしい。
「着てくれる………?」
弟に雑な口ばかり利いているくせ、弟離れできていない勝気で粗忽 な兄への警戒が強くなる。すると多少の空気感の違いを察したのか不安げに恋人が顔を上げて訊ねた。その口角にも口付ける。
「もちろん」
着替える気はあるにせよ、銀太の体温から手を放すのが惜しかった。透明人間がビニール袋を開き、赤と白のミニスカート衣装を取り出した。巨大なクマがのっそりと歩き、両手を打ち鳴らし熱視線を送る銀太の目元を覆う。
「楽しみ~」
寝間着を脱ぐ。下着も脱いだ。何を脱ぎ、何を身に纏ったか、実況した。恋人が喜ぶ。固さのある白いファーの付いたスカートの裾は腿の中間よりも上だった。女性物の大型規格 で、腰は少しだけゆとりがあるが、肩はいくらきつかった。巨大なクマのぬいぐるみが恋人の視界を解放する。彼は大きな目を輝かせてはしゃいだ。特にサンタクロースの三角形に白い玉の付いた帽子が気に入ったようだった。前後左右四方斜めから夜守を観察し、屈んだ。柔らかくはないスカートの裾のファーを摘まむ。
「め、捲ってみても、い、いい?」
「履いていないぞ」
「ノーパン?」
「そうだな」
無邪気な顔が夜守を見上げた。上目遣いが直撃する。恋人に見られそうなところで、弱味が硬くなる。
「舐めたい」
「………いいのか」
「スカートの中でボッキしてんの、なんかコーフンするから」
口淫を施す恋人を想像して、一度己の手によって果てているくせ欲深いそこが存在を主張した。技巧はないが、美味しそうに淫部を頬張る姿が大好きだった。
「手は、繋いでいいのか」
「うん。座って。スカート、捲って?」
夜守はおそるおそる手を伸ばす。熱い手が指を絡める。徐ろに、そしてスカートの後部を気にしながらベッドに腰掛けた。すでに銀太は夜守の膝を前にして待ち構えていた。屹立は隠し通せず、赤いフェルト製の布を押し上げ、スカートの裾をさらに短くした。期待と興奮で手が震える。同じ器官があるというのに、赤いタワーを幼気 な眼差しで凝視されているのがひどく卑猥だった。誘うように裾を捲る。肌を滑る布が恋人の手かと思うとさらに官能が高まり、赤いフェルトタワーがさらに高くなる。
「……んっ、く、」
先端を予告もなく銀太の指が突つく。それだけで迸りそうなほど感じた。声が漏れ、恋人はへにゃりと人懐こく笑む。
「かわいい、やもっちゃん。チュウ、もう一回だけしてい?」
日頃の情事ならば、可愛らしく困惑しながら鳴く銀太が逞しく牡の顔をしていた。この差異は寒暖差とも等しく、しかし異質に心臓を締め付ける。夜守は今夜だけは、このミニスカートのコスチュームがよく似合う女になってみたいと思った。
「いいよ。何回でもして………?」
喉が引き攣り、声が掠れる。それを聞いた銀太の欲情が見て取れた。晒した膝に汗ばんだ手が乗り、恋人が首を伸ばした。夜守も上体を伏せる。跳ね返ったように離れた。一瞬でまろく、唇が溶けそうだった。
「かわいい、やもっちゃん。すごくかわいい。めっちゃ似合ってる」
膝の前に落ち着くと、色気のない表情に変わった。
「モデルさんみたい」
「モデルもやっているだろう?」
恋人に渡した雑誌の夜守が写っているページの隅に、濡れて乾いた跡があったのを彼は知っていた。何をしたのかが生々しく、夜守自身も春情に滾 ったことがある。
「あっあっ、そっか!もっとモデルさんになって、あっちもこっちも、街中がやもっちゃんだったらいいのに」
「そうしたら忙しくなって、銀太と居られる時間が取れなくなるな」
眉を下げた恋人の頬を撫でる。夏は日に焼けて荒れていたが、冬は大福アイスのようだった。指だけでは飽き足らず、手の甲でも撫でる。
「おうち帰ってきたら、オレ、本物のやもっちゃん居るもん」
「そうだな。俺は銀太だけのものだから」
「あともう一回だけチュウしてい?ホントに、あと一回」
「いいよ。何回でも」
同じように彼は触れるだけのキスをして、夜守の泣きぼくろにも接吻した。そしてスカートの上から細長いサンタ帽を作りかけている腿の間のものにも唇を当てた。
「いただきまぁす」
夜守の作った食事を食べる時のように彼は両手を合わせてから熱楔に舌を伸ばす。羞恥を覚えるほどにその剛直はびたんと跳ねた。
「ん、元気………」
「銀太がかわいいからだ」
恋人は愛くるしい笑みを浮かべ、手で逃げないように玉茎を掴んだまま口に含んでいく。内部の湿潤な体温が敏感な粘膜を包む。深く嘆息した。怒らせた恋人が帰ってきた安堵感と再認識する恋愛感情が夜守の感度を研ぎ澄ました。関係は完結せども、恋慕は留まるところを知らない。
恋人は手と口内膜、舌を使って必死に夜守に快感を送った。ぎこちない手付きと惑った舌、この口淫の下手さがたまらない。要求は何もなかった。恋人の思うままに舐めて欲しい。銀太の幼児性と清純性、そしてそれらを侮るように肌目をぴたりと沿わせ、抱き合って揺れている現実が肉体に与えられるものを凌駕した。愛しの人は頬を窪ませ口元を窄め、腰の中心をゆっくり上下する。いくらか滑稽な様になっているが、構わず上目遣いを続けている。夜守が腰を突き上げてしまえば喉を奪われ苦しくなる立場にあるが、視線を繋ぎ留めたまま、その顔には何の不安の色もない。むくむくと技量だけでない付加価値によって追い詰められていく。少し頭の悪い、それでいて聡さもあり物覚えも良く穏やかで溌剌とした恋人の清らかな口が卑猥な肉棒を慰めている。何度もその事実と構図をなぞる。彼の歯に当たる。噛まれてみたいとも時折思ってしまうのだった。
「ごめ……っ!歯、当たっちゃった。痛くなかった?」
寝起きのように口から肉茎に纏わりついた涎を垂らし、彼は彼が想定した痛みを誤魔化すように何度か扱いた。
「大丈夫、痛くなかった。アイスキャンディーみたいに美味しそうに舐めてくれるから、すごく嬉しい」
実際に痛みはなかった。素直に思いを伝えると、恋人は照れ臭そうに髪を揉み、微笑をみせる。
「銀太は?舐めて欲しい?」
恋人は凍えるか、あるいは恐ろしい映画のシーンでも思い出したように夜守を見つめながら突然ぶるぶると震えた。
「どうした?」
「やもっちゃんの綺麗な口がオレのちんちん舐めてるの、なんかえっちなんだけど、汚してるみたいで怖いなって」
「何を言っているんだ。それなら君にも言えたことだよ、銀太。ほら、出してごらん。俺も舐めたい」
作りの粗いサンタクロースのコスチュームに、おそらく父から借りたらしい不釣り合いなベルトを締めている下半身を見遣る。
「み、見ないで……」
「俺の口 で気持ち良くなって」
銀太が白いフェルトのズボンの上から股間を押さえた。
「大っきくなっちゃった」
「かわいい……舐めたい。俺の口 でいっぱい出して欲しい……」
まだ体温の残る場所と立ち位置を入れ替える。ベルトのバックルを外して、すぐに壊れてしまいそうなサンタクロースのズボンのホックを外した。片手は銀太の手と固く結んでいる。
「少し勃っているな」
「だ、だって、やもっちゃん、凄く可愛 いだから………」
「ありがとう、銀太。大好き」
口淫後の口付けを彼はいつでも遠慮したが夜守は自身の穢部と関節接吻することになっても恋人とキスをしたかった。また小さなところで弾む。蕩ける。恋人が照れる。そして草臥 れることなく待っている甘勃ちに鼻先を近付ける。薄くはないが広範囲でもない陰叢を冬には伸ばして面白いほどよく洗っていた。ボディジャンプーの香気にフェロモンが紛れている。薫る彼の匂いにくらくらした。焦らしながら敏感な先を舐め上げる。
「ぁふ、ぅ」
「くすぐったい?」
「きもちぃ………」
舌技で誑 かし、翻弄された恋人は愛らしい顔をさらにかわいらしくして腰を振る。手加減はあるものこ髪を引かれ喉を突かれ、口蓋垂を貫いた状態で彼は吐精し、しょんぼりする。それが日々で、そういう恋人を夜守は深く愛した。今夜も例に漏れず、銀太はさらさらとした色素の薄い夜守の毛を梳くように撫でていたが、指を立て、小さな頭を押さえ腰を振った。窺うように見上げる余地はまだあった。快感に没頭していても、恋人は無意識に優しかった。彼の味が濃くなっていく。どこからどこまで口腔なのか分からなくなるほど熱く瀞 んだ。性感帯には触れられていないというのに口慰する夜守も気持ちが良くてたまらなくなった。銀太の必死なと困惑しているような呻めきに聴き浸る。
「ぁぁあぅっ!」
情けない悲鳴が頭上で聞こえたかと思うと、その一拍後に舌に脈動を感じ、咥えたものが喉奥で爆ぜる。
「ぁあ………ぅう………」
口の中を占めているものがゆっくりと前後した。気弱げな声も聞き漏らさない。舌に塗られていく彼の味に欲情を火照らせながら待つ。
「ご、ごめん!」
伏せがちだった目を上へ注ぐ。惚けた顔と視線が繋がれた。
「いいよ。いっぱい出してくれて嬉しい」
白蜜を舐め取り、先端部に軽く接吻してから、恋人をベッドに押し倒す。恍惚とした表情がある種の艶めいた諦めを灯し、夜守はその美贄を貪らずにいられなかった。半裸になって人工的な温もりの中、互いに恋人由来の熱を分ける。何度も手を組み替え、指を絡め、どこに置こうか忙しない。
銀太は胸に星形のニップレスを貼っていた。明るい黄色の中心部がぷつりと勃ち、その周辺が軽く浮いている。あまりのいじらしさに夜守は指でタップした。こりっとした感触は何度も確認したくなるような魅力があった。
「ぅん……っ!」
「かわいい、銀太。ぷくってしてる。すごくかわいい」
「なんか、おっぱい、勃っちゃって、恥ずかしいから………」
「うん?寒いのかな。俺の口で温めてあげるよ」
顎にキスしてからニップレス越しに舌を這わせる。
「ぁ、ん……やも、ちゃ…………」
シーツの上でのたうつ恋人の姿は絶世の美といえた。片方の星形を徐々に剥がす。粘着剤が肌を引っ張る。労りながら現れた肌に唇を当てた。ひたすら、ただ燃え上がるように恋人がかわいい。透明人間がベッドをぬいぐるみで囲ってしまう。巣のようだった。膜の下で凝っている小珠を指の腹で弾き、外気に触れてつんとしているところは舌先で器用に焦らした。
「ぁっ、ぁっ、おっぱい、きもちい……っ」
腰が躍っている。押さえつけて、夜守はこの可愛らし過ぎて苦痛すらも撒き散らす恋人を自分の作る快感の水底に沈めてみたくなった。
「茉莉 く、ん、茉莉くん………!」
誰だその男は、と雷電が心臓を撃った瞬間、自身の名であることに気付く。
「銀太……?」
「あっ…」
胸粒を舐められ、捻られ、もどかしい快感に呑まれ、恋人は蜜を花弁から零していた。しかし彼はその口元を覆ってしまう。
「どうした?」
耳殻を食み、指の腹で恋人の弱い箇所を擂り潰す。夜守とは反対に太さのある眉毛がすまなげに八の字を描く。
「ぁんんっ!ぁ、ごめ、やもっちゃ……ぁあ!」
「何が?」
「自分 で、するとき………茉莉くんって、呼んでるの、ぁうッ」
二度目の解放を心待ちにしている膨張が漲 ってしまう。丸い薄膜に媚粒を押し潰す。
「今度からそう呼ぶか?」
「んっあっ、なんか、恥ずかしい………し、」
「恥ずかしくない。俺は嬉しい。もう一回呼んでくれ」
銀太の甘やかな快楽に涙ぐむ目が眉に伴い細められた。
「茉莉哉くんっ!」
気恥ずかしくなったのか彼は要望に応えるなり夜守に噛み付くようなキスをした。穏やかな闘争心と甘い悪戯心が生まれた。挑まれたからには返さなければならない。感じやすい胸を刺激され形も輪郭も境界も曖昧になったような恋人の口の中を堪能する。
「はぁ、ぅうん……」
寿命を終える頃には唇や舌が擦れて無くなってしまいそうだ。擦り切れて無くなったら、次はどこを愛撫しよう。時折彼はキスに酔った頭でそう考え、やがて融解しきってしまう。口を離すと銀色の朧げな橋が架かった。そこから潤滑液をもらう。銀太はサンタクロースのズボンから片脚を抜いた。華奢なフェルト製の衣類は乱暴には扱えない。白いフェルトのズボンが筋肉質な素肌を滑っていく。柔らかさのない布が、あまり乾燥を訴えたりしない強さのある皮膚を擦る。紺色の下着が透けている。下着に対する性的嗜好は特になかったが、今この瞬間に新たな扉の把手を握っている。それでいて形も肉感もよく知っている脚が通る下着の形状や柄、色合いを夜守は覚えていて、艶事の場面ごとに強く印象付いている。
「あれ、脱げない………」
透明人間が恋人の脱衣を阻んでいる。困った目が夜守に縋る。その原因を彼は理解しているようだった。
「もったいないから、このまま食べたい」
口付けと愛撫を繰り返し、自分を愛でる強靭な蕾が慎ましやかに花開く。まるで分身のような透明人間はぬいぐるみを勝手にじりじりと動かした。恋人が帰ってきたら贈ろうと思っていた、プロテインシェイカーだの、肌触りの良いタオルだの、寝間着だのの入ったプレゼントボックスが特に前に迫ってきていた。恋人への想いがこのプレゼントボックスにリンクしてしまっている。
「茉莉くん、もう、いいよ………?」
透明人間に操られたぬいぐるみやプレゼントボックスに敵意を抱きながら、夜守は銀太とひとつになった。彼の中を往復する。息が重なる。強く手を握り、快感を送り、快感を受け取る。素朴な木の材質をそのまま活かしたベッドが軋んだ。シーツが擦れる。
「茉莉くん……っ、!ぁっあっ!」
獣の交尾みたいな熱情のやり取りだった。片脚にサンタクロースのズボンを引っ掛けたまま、銀太は前後に揺さぶられ、夜守は懸命に腰を振った。そこに美醜はなかった。
「奥、すごいから、奥……ぁっ!ンっ、だめ………ぇッ!」
吃逆に似た高い声を弾ませて彼は鳴く。夢中になって卑猥な腰遣いは恋人を追い遣る。
「銀太、かわいい……」
恋人と交わる快楽は思考能力を低下させた。同じことを意味の有無など考えもせず、衝動のまま口から吐き出す。単純で簡素、短くありふれた言葉で本音をすべて表してしまえたのだから仕方がなかった。
かわいい、かわいいと口から本心が飛び出すたび、じりじりとプレゼントボックスが躙 り寄る。それだけでなく夜守の目を引いたのは、その厚紙でできた箱には男性器が生えていた。性感の高められている恋人の奥で勃ち止まる。
「……ッ」
「んうっ……!」
急停止した途端強く引き絞られ、それに感じてしまうと別の律動で肉壁を抉ってしまった。
「銀太、あれ、何だ」
繋がったままプレゼントボックスに生えている男根を指した。返事は結合部で起こる。ひくり、ひくりと半液体と紛う接合面が蠢いた。
「あっあ!待って!待っぁっあっあっん」
情交中にもかかわらずプレゼントボックスのほうへ行こうとした銀太を、ひたすらに快楽漬けにするようなピストンが襲った。
「あっあっま、りくんッ!まりくんっ!ゃあんっ!」
「銀太、俺が居なくて、寂しかったのか?」
太く、長く、均整のとれた男性器はシリコンで作られていた。アンダーヘアに質感はなく、細かな溝と着色によってそれらしくなっている。
「ごめっ、ぁっあっあっ、まり、くンっ!そんな、あひッあん」
プレゼントボックスはもう遠慮もなかった。夜守は体勢を変え、2人共々仰向けになる。身体の上に乗せた銀太は筋肉量が多いため重く、圧迫感があった。片膝を持ち上げた。プレゼントボックスが近付く。
「あっあっあっ、まりく、んッ、ごめ、ぁっあっ」
「謝るな、銀太は悪くない。寂しくさせてすまなかった。愛してる」
恋人は怯えた目をしていた。夜守は届く範囲のすべてに口付ける。
「ヘン、タイみたい、じゃない……?」
「まさか。すごく可愛い。俺のことを、想ってしてくれたのか」
彼はこくりと頷いた。透明人間も昂り、いつか彼に試そうと思っていた大きな星の飾りが付いた尿道プラグを出してきてしまう。夜守は半分不本意なその道具の登場に、羽虫でも払うかのような仕草で腕を振った。しかし、透明人間は器用に避け、先走りの蜜でよく潤った窪みにゆっくりと落ちていく。思っていたよりもすんなりと。繋がった場所が短い間隔で収縮する。
「あ、んっんんんッ!」
声は非常に甘く、淫肉の激しい動きによっても夜守は迸りかけてしまう。奥歯を噛んで耐える。
「銀太………痛くないのか?」
「まりく………ごめッ、オレ、」
また恋人を惨めにさせてしまうのだろう。
「銀太………気持ち良くなろう?今度は俺と」
「あ………っあぁぁぁ……」
胸と前と後ろを同時に責められ恋人は全身を震わせていた。夜守の精神的な模倣といえるプレゼントボックスに付いたシリコン陰茎も銀太を狙う。達しそうになっている皺孔にもうひとつ、欲情の憑依した筒が入り込む。壊さないように、夜守は意識を半分削いだ。プレゼントボックスを細かく操る。恋人を傷付けないように、ゆっくり、丁寧に、慎重に、それでいて彼が気持ち良くなれるように。大きな星の飾りが付いたプラグも駆使する。前と後ろの内部から悦楽の核を挟んだ。胸粒も絶妙な加減で抓る。
「ぁうんんん!」
電流を通されたように恋人の肉体が跳ねた。星の飾りの尿道プラグの埋まったところからとろとろと白濁が湧き、李 の曲線を流れていった。
「本物の俺と銀太の妄想 の俺、どっちが気持ち良い?」
答えなどは聞かずとも分かっている。
「本物の茉莉くん……」
ベッドがうるさく軋んだ。乾いた音が鳴る。
「ぁっあっあっ!」
「銀太、愛してる。絶対に放さない」
喘ぎ悶える恋人を力強く抱き締め、深く口付ける。奥深くまで穿ち、最奥を抉ると夜守の口腔の中で甘い声が轟き、微細なうねり方をするそこに夜守も濃い粘液を注いだ。
◇
クリスマスを過ぎると、夜守にはもう何の力も残されていなかった。25日を過ぎると多忙だった数週間が嘘のようだった。これからまた1年は銀太と夜を共にし、朝にまた顔を合わせるのだろう。しかし来年には星宮家の者になり、仕事を半分に減らそうと考えている夜守なのであった。
【きんたMARI yeah! 完】
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