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第五章・2
明治時代に建てられた旧七浦住宅は、伝統的な和風様式だ。
主屋は座敷棟、居間棟、書斎棟、玄関棟、湯殿の5つの棟からなり、それぞれ異なった内装と美しい庭園の眺望で、特色のある空間を作り上げている。
日本に残っている数少ない明治時代住宅の中でも、造りが上質で保存状態もいいことから、国の重要文化財に指定されている。
「……と、まあ、こんな感じの私の旧家だよ」
「すごいですね……」
ぴかぴかに磨かれた廊下に立ち、外の美しい庭園を眺めながら、青葉は溜息をついた。
安藤邸は洋館だったのでこの住宅とは比較が難しいが、それでもスケールが一回り違うことはひしひしと感じられた。
「それで、こちらに芳樹さんのご両親はお住まいなんですか?」
「いや、さすがにそれはないよ。近接した現代家屋に住んでいる。ここは観光客向けに、解放してあるんだ」
今から、そっちに行くよ、と言われ、青葉は気を引き締めた。
(どんな方だろう。芳樹さんのご両親って)
失礼のないようにしなきゃ、と心した。
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