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第七章・7

「あの。昨夜、なんですけど」 「ん~?」  朝食のトーストに蜂蜜を塗りながら、青葉はぼそぼそと言った。 「僕、何か芳樹さんに失礼をしませんでしたか?」 「いいや? どうして?」 「あまり、記憶がないんです。それに……」 「それに?」 「いえ、何でもありません!」  それを最後に、青葉はぱくぱくと朝食を摂り始めた。  芳樹はトーストにピーナッツバターを塗りながら、噛みしめるように言った。 「記憶がないなら、たいしたことじゃないさ」  その言葉に、青葉は一瞬動きを止めた。  だが、返事は明るかった。 「そうですね。もう、気にしないようにします」 「それがいいよ」 「はい」  朝の光は明るく、青葉を照らしていた。  もう二度と、智貴の影に悩まされることはなかった。

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