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第八章・2

 もうすぐハロウィンと言うこともあり、お菓子屋さんはどこも賑やかだ。  オレンジを基調にしたハロウィンカラーでラッピングし、セールを行っている店も多い。  そんな中、青葉は商戦に参加せず、ひっそりと開けている和菓子屋の前で足を止めた。 「和菓子、かぁ。和菓子もいいかも」  のれんをくぐり店内に入ると、老舗らしい風合いのたたずまいだ。  しかし、ショーケースの大きさに比べて、並んでいる菓子は少ない。 (売れないから、どんどん作る数や種類を減らしていってるんだろうな)  もうそれだけで、この和菓子屋さんのために全部買ってあげたいと思ってしまう青葉だが、気を引き締めた。 (おいしくなければ、芳樹さんの口には入れられない)  ちょうどいいことに、壁に『抹茶セット・500円』と張り出してある。  好きな和菓子をケースから選び、淹れたての抹茶といただける商品だ。  青葉は薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)を頼み、店内の畳敷きの小部屋へ入った。

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