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第九章・4
「芳樹さん、ハロウィンの準備は任せてください」
「ホントかい? それは嬉しいな」
どんなアイデアかな、と芳樹は首を傾げた。
「お菓子は『みのや』さんの和菓子にしました。もう、発注も掛けてます」
「おいおい、随分有能だな。それに、ハロウィンに和菓子だなんて、子どもたちも驚くよ」
きっと心に残るハロウィンになるだろうね、と芳樹は青葉の頭をぐりぐりと撫でた。
「当日は、芳樹さんがお菓子を配ってくださいますか?」
「う~ん、どうだったかな。その日は……」
スケジュールを確認する芳樹に、青葉はすがった。
「お願いします。芳樹さんがいなきゃ、ダメなんです」
いつもは、七浦家の家事使用人・清美さんにお願いしたり、会社の部下に命じたりして渡す、ハロウィンのお菓子だ。
ただ、青葉がこれほど熱心に押して来るとなると、何か訳ありの匂いがする。
楽しい、いたずらの香りがする。
「解った。31日は、施設の訪問を最優先事項にするよ」
「ありがとうございます!」
晴れやかな笑顔の青葉に、芳樹もつられて笑顔になった。
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