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第九章・5
最近、青葉の様子がおかしい。
そう、芳樹は感じていた。
家事が、おろそかになっている。
「いや、私が家事を頼んだわけじゃないから、文句を言う筋合いはない」
だがしかし。
会社から早めに帰ると、留守のことがある。
これは怪しい。
「まさか、内緒で安藤さんのところへ行ってるんじゃないだろうな」
そんな疑心暗鬼さえ浮かんでくる。
当の青葉は芳樹の胸の内など知らぬ存ぜぬで、相変わらず明るく振舞っている。
ただ、疲れていることもあるようだ。
「青葉、ほら。今指を二本入れてるんだよ~」
「は~い」
「気持ち悦いだろ、な?」
「う~ん」
「おい、青葉ったら!」
そこでもう、すやすやと眠っている。
これはもう、日中に安藤さんと一度ヤッたからか!?
「いや、青葉を信じよう」
後ろめたいことをやっているのなら、あんなに明るく笑えるはずがない。
青葉なら、特に。
仕方がない、と彼にパジャマを着せて、額にキスをした。
そんな夜も、あった。
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