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第九章・7

 ちょうど午後3時ごろの、おやつの時刻に芳樹と青葉は施設に到着した。  職員にお願いして、駐車場ではなく車を出入り口に横付けさせてもらって、芳樹はお菓子の箱を手に施設を訪問した。 「おまたせ~! お菓子が来たよ!」  意気揚々と屋内へ入った芳樹を待っていたのは、嬉しいサプライズだった。 「ハッピー・ハロウィーン!」  思い思いの仮装をした子どもたちが、明るく出迎えてくれたのだ! 「えっ? ええっ!?」 「トリック・オア・トリート!」  可愛い魔女やドラキュラ、狼男に悪魔などが、子どもなりに凝ったコスプレで着飾り、芳樹を取り巻いた。 「おいおい、青葉。これは一体?」 「早くしないと、いたずらされちゃいますよ」  青葉も笑いながら、お菓子の箱を手にしている。 「確かに、それは大変だ。さぁ、みんな。並んで並んで!」  わあわあ言いながらも、並んだ子どもたちは皆手を伸ばして、お菓子の入った箱を受け取った。

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