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第九章・8

「わあ! ジャック・オー・ランタンのお菓子だぁ!」 「コウモリのお菓子もあるよ!」 「こんぺいとうも!」  菓子箱を開けた子どもたちは、みんな歓声を上げている。 「さあ、みんな。お茶が入りましたよ。テーブルに着いて、お菓子をいただきましょう」  職員の声に、子どもたちは一斉にテーブルに……、着かなかった。  その前に。  悪魔の格好をした少年が、指揮者のように手を挙げる。  全員が笑顔で、大きな声を張り上げた。 「ななうら よしきさん、ありがとう!」 「え? あ?」 「芳樹さん、お返事は?」 「あ、ああ。どういたしまして。こちらこそ、喜んでくれてありがとう!」  ぱちぱちぱち、と職員の拍手が鳴り、子どもたちはにっこり笑うと、ようやくテーブルに着いた。  芳樹は、してやられた、という風に青葉を見た。 「どうですか? 感想は?」  利発で小癪な少年は、満足げな笑顔だ。 「最高の、ハッピー・ハロウィンだよ。ありがとう」 「お菓子、僕たちの分もあるんです。職員さんの分も。みんなで、いただきましょう」 「君は本当に有能な秘書だなぁ」  芳樹は、子どもたちの輪に混ざり、一緒になっておやつを楽しんだ。  今までで、一番素敵なハロウィンだった。

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