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第九章・9
だけど、と芳樹は素裸で隣に憩う青葉の髪を、そっと梳いた。
夜、すでに一度愛し合い、二人は甘い気怠さの中にいた。
「だけど、どうしてあんな趣向を思いついたんだ? 子どもたちに、コスプレさせるなんて」
「それは、芳樹さんがヒントをくれたんですよ」
「私が?」
青葉は、いつも芳樹が求める愛について語った。
一方通行でない、愛し愛される関係。
芳樹が青葉に求める、愛の形だ。
「芳樹さんがお菓子をあげるだけじゃ、一方通行です。子どもたちからも、芳樹さんに何かお返しがしたい、って声を拾ったんです」
「それで、あの可愛いモンスターたちが生まれたのか」
本当に、素敵だ、と芳樹は青葉にキスをした。
「お菓子も、美味しかったよ。今度お母様に、『みのや』の和菓子を茶会に使ってもらおう」
「ホントですか!」
「うん、約束する」
嬉しそうな青葉に、芳樹も嬉しくなった。
「青葉は、周りのみんなを幸せにする力を持っているね」
「今は……、一人だけを幸せにしたいと思ってます」
「光栄だよ」
芳樹は青葉に肌を擦り付け、今一度その身体を腕に抱いた。
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