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第十一章・2

 普段より興奮しているのは、芳樹も同じだ。  見えない分、青葉の香りが鼻腔に甘く、しっとりとした肌触りは手に吸い付いてくるようだ。  少しずつ、わずかずつ乱れていく吐息に、悶えて聞こえる衣擦れの音。 「どう? 気持ち、い?」 「はい……」  密やかな声が、漏れるようになってきた。  喘ぎに、小さな嬌声が混じるようになってきた。  それでは、と芳樹は、本格的に青葉を抱きにかかった。 「あ、やっ……」  ぴくん、と青葉は跳ねた。  脇の柔肌を、そっと舌先で舐められた。  くすぐったさの中に、快感が泡だってくる。 「んッ!」  そうかと思えば、内股の付け根を緩く吸われた。  性器近くの肌は、敏感に悦楽を欲してくる。 「あぁ……、やぁ……、もぅ……」  弱いところを舐められ、緩く吸われ続ける。  次に、何が来るか解からない。  だが、確実に気持ち悦さがもたらされてくる。  どきどきと、胸が高鳴る。刺激の予感に、ぞくぞくする。    青葉は暗闇の中、すっかり素肌をさらした。  テントの中はヒーターが置かれ、シェラフの下には電気カーペットが敷いてある。  おかげで寒いことはなかった。いや、どんどん熱くなってくる。  身体に芳樹の腕がまわされてくる。  手のひらが、素肌に熱く触れてくる。  青葉は吐息を漏らし、さらなる責めに期待を込めた。

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