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第十一章・6
乱れる息を整えながら、手探りで青葉はウェットティッシュを取った。
芳樹をきれいにしてやるつもりだったが、逆に取り上げられてしまった。
「ダメ。青葉が先」
「でも、僕。芳樹さんの体の上に粗相を」
確かに、騎乗位の青葉が射精したのだ。芳樹の服は、汚れている。
それでも構わず、芳樹は青葉の体をていねいに拭き始めた。
「青葉、裸なんだよ? 風邪ひいたら、どうするのさ」
「あ……」
「冷たいけど、我慢してくれ」
「はい」
芳樹の心配りをありがたく受け取り、青葉は幸せを噛みしめていた。
「芳樹さん。秋キャンプ、素敵でした」
「解ってくれた?」
「また来年も……、来たいな……」
「最優先事項として、スケジュールに入れておくよ」
服を着終えた青葉は、そのまま芳樹の胸に飛び込んだ。
一分でも早く、一秒でも長く、その胸に抱かれたかった。
「おいおい、服が汚れるぞ。私の方はまだ」
「芳樹さん、好きです」
「……初めて言ってくれたね」
「芳樹さん、愛してます」
「私も愛してるよ、青葉」
雨音が、二人を優しく包み込んでいた。
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