95 / 169

第十三章・9

 12月25日、クリスマス。  朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。  芳樹は、隣で眠っている青葉の髪を優しく撫でた。 「ん……」 「ごめん。起こしたか」  芳樹の声に、青葉はがばりと毛布をはだけた。 「すみません、寝坊しました!」 「いいからもう少し、横になって。昨夜は疲れただろう?」  その言葉に頬を赤く染めながら、青葉は芳樹の額に手を当てた。 「芳樹さんが熱を出してるのに、僕ったらなんてことを」 「もう、下がったみたいだよ」  電子体温計で測ると、熱は36度7分。平熱に戻っている。 「青葉にうつしたんじゃないだろうな。君は熱があったりしないか?」 「大丈夫です。平熱です」  それにしても、と芳樹は昨夜の青葉の行動を思い出して深い息を吐いた。 「悦かった……」 「もう。やめてください」  昨夜は芳樹からの贈り物に、青葉もお返しのプレゼントをしたのだ。  

ともだちにシェアしよう!