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第十四章・4

 会場であるホテルのレストランで、芳樹は父と合流した。 「ん? なかなかセンスのいいファッションでキメてるじゃないか」 「選んでくれたのは、私の大切な人ですよ。お父様」  むむ、と義人は言葉に詰まったが、すぐに笑顔になった。 「今日の会食には、私同様に頭取の息子さんも同席される。失礼のないようにしなさい」 「息子さん?」 「秋に18歳になられたばかりでな。第二性がΩだが、優秀なご子息だ。明秀大学の、付属高校に通っておいでだ」  芳樹は、だんだん嫌な予感がしてきた。 「お父様、まさか」 「お見えになったぞ。帝都銀行頭取・土門 豊(どもん ゆたか)様だ」  義人が頭を下げた先には、やはり頭を下げて挨拶する熟年の男性が。  そしてその隣には、深々と頭を下げている少年がいる。 「このたびは、お時間をいただきまして」  義人は頭を上げ、芳樹の背を軽く押した。 「息子の、芳樹です」  これはこれは、御立派な息子さんで、と今度は土門が傍の少年の肩に触れた。  土門の息子は、自分で挨拶をしてきた。 「土門 怜(どもん れい)です」  芳樹は、標の近くに歩み寄って驚いた。  思わず声を上げそうになって、慌てて飲み込んだ。 (青葉!?)  怜は、青葉にそっくりだったのだ。

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