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第十五章・7

(あ、芳樹さんが行っちゃう)  ずるり、と芳樹が体内から去って行った。  体を縛るものが全て無くなり、青葉はころんと仰向けに転がった。 「熱い……」  体が熱い。  心も熱い。  芳樹も、その身も心も火照らせていた。  青葉の隣に横になると、小さな声で、ごめん、と言った。 「ちょっと、意地悪しちゃったかな」 「いいえ。あの、すごく感じました……」  思いきり抱かれた後の青葉は、余計なことを考える余裕を失っていた。  はぁはぁと息を整え、芳樹と体の拭き合いをした。  身じまいを整え、彼の腕枕に寝る頃になると、ただ落ち着いて現実を見た。 「明日、さっき言った封書をお見せします」 「青葉のお父様に、お会いして見たかったな」 「写真があります。それも、明日に」 「そうだね。今夜は、もう休もう」  青葉はすぐに眠りに就いたが、芳樹はやはりなかなか寝付けなかった。 「お見合いの件、すんなりお断りできればいいが」  青葉に瓜二つの少年・怜。  いつまでも、彼の姿が頭から消えてくれなかった。

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