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第十七章・3
日曜日、怜はホテルのスウィートルームを借りてから、7階の展望レストランで芳樹を待った。
「今日、抱いてください、って言ったら、芳樹さんどんな顔するかな」
賭けに出る気持ちで、怜は芳樹を待った。
やがて、風に乗ってコロンの香りが、怜に芳樹が来たことを伝えてきた。
「お待たせ」
「芳樹さん、……え?」
怜の元に現れた芳樹は、一人ではなかった。
明るいグレーのスーツを着た、少年。
しかも驚くべきことに、彼は自分に瓜二つなのだ。
「芳樹さん、これは一体」
「紹介しよう。彼は、青葉くん。君の、双子の弟だ」
「そ、そんな。僕に、双子の兄弟が!?」
混乱する怜の肩に、芳樹は両手を置いた。
「驚かせてすまない。ただ、私の話を冷静に聞いて欲しい」
君なら、できるはずだ。
そう言われて、怜は頭が冷えた。
椅子にゆっくりと腰かけ、正面に座った芳樹とその隣の青葉を見た。
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