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第十七章・4
「18年前、土門氏は。君のお父様は双子の兄弟を授かった。だが……」
その兄弟は、第二性がΩだった。
青葉はその言葉にやや瞼を伏せたが、怜はそのまま真っ直ぐ前を見ていた。
「当時は今よりΩに対する偏見が強かった。お父様は、直系に二人もΩがいるという事実を、隠したかったらしい」
「お父様らしいお考えです」
怜は、表情の読めない口調で、ただそう言った。
「それで、双子の弟・青葉くんを、旧華族・安藤氏の執事である加古という人物に、養子に出した」
「相応の人物に託した、ということですね」
「そのとおり。安藤氏と君のお父様は知己で、その執事の一人が子に恵まれず悩んでいるということを知り、養子縁組を結んだんだ」
解りました、と怜はうなずいた。
簡単ではあるが、自分が双子の弟と別れ、違う道を歩んできたことは、怜に理解できた。
ただ、解らないことが一つある。
「芳樹さんは、その僕の弟……、青葉くんをどうして知っているんです? なぜ、一緒にいるんですか?」
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