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第十八章・3
「バレンタインデーの、プレゼントだ」
「ありがとうございます!」
青葉は喜び、贈物の包装をていねいに解いた。
一つは、チョコレート。
ゴールドの箱に入った、エコール・クリオロだ。
「綺麗。食べるのが、もったいないですよ」
「そんなこと言わずに、一晩で平らげるくらい元気になってくれ」
そして、もう一つはブレスレットだった。
「青葉の誕生石で作った、パワーストーンのブレスレットだ。早く熱が下がるように、な」
青葉の誕生日は10月なので、誕生石はトルマリンやオパールだ。
だが、そのブレスレットにはそれらの石の他に、ダイヤモンドがアクセントに散りばめられていた。
「また、こんな高価な品を」
「怒らないで、着けて見せてくれ」
青葉はこぼれる笑みをこらえきれないまま、ブレスレットを手首にはめた。
「似合いますか?」
「うん、完璧」
二人で微笑み合った後、芳樹の携帯が鳴った。
「誰だ? いい所を邪魔する奴は」
発信は、怜だった。
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