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第十九章 病魔

「芳樹さん、お腹すきました~」 「我慢しなさい。血液検査あるんだから」  芳樹の友人である医師が経営している大きな病院の待合室に、青葉と芳樹は掛けていた。  熱が下がらない、寝汗をかく、倦怠感がある、などの症状から、医師・久保(くぼ)は数日後に血液検査を行うことにしたのだ。 「すぐに治してくれると思ったのに。あのやぶ医者め」 「芳樹さん、お友達をそんな風に言ってはいけません」  やがて青葉は血を抜かれ、それが検査に行っている間ようやく売店のおむすびを口にしていた。 「おむすび一個で足りるのか?」 「はい。最近、食欲が無くて」  心配だなぁ、と芳樹は青葉の顔を覗き込んだ。 「少し痩せたみたいだし。検査の結果、何事もなければいいけど」 「すみません。ご心配おかけしてしまって」  おむすびを食べ終えた青葉はガムを噛み、その後芳樹にもたれてうとうとしていた。  長い待ち時間が過ぎ、ようやく青葉の診察が始まった。

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