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第二十章・3

 久しぶりに会う芳樹の姿に、怜は軽く驚いた。 「芳樹さん、お痩せになりましたね」 「いや、青葉に比べればこんなもの」  きっと不規則な生活と心労が、彼を蝕んでいるに違いない。  怜は、心を傷めた。  ホテルのラウンジに展開するカフェで、二人は話を始めた。  周囲には、商談を進める者や、純粋にお茶を楽しむ者、久しぶりに会った旧友とお喋りをしている者など、雑多な言葉が音楽のように流れていた。 「昨日、電話でも話した件だけど。同意してもらえるね?」 「はい。昨日は失礼しました。僕も、青葉くんを助けたいという気持ちは強く持っています。ただ……」 「ただ?」 「父が、反対しています」  それがあったか、と芳樹はショックを受けた。  青葉は、実父である土門に、養子に出された子だ。  それが突然現れて、怜にドナーになって欲しい、という話は彼にとってまさに青天の霹靂。  にわかには、受け入れがたいだろう。

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