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第二十章・6

「結婚しよう、怜くん」 「は、はい」  そんな。  コーヒーのおかわりを頼むくらいに、気軽に。  もう少し、悩んだり、苦しんだり、しないんですか? 芳樹さん。 「土門さんに、お会いしたいな。まず、私と君の間に、結婚の意思が固まったことを報告しなくては」  そんな。  もう立ち上がって、伝票持って。  僕を、もっと大切にしてください。芳樹さん。 「一刻を争うんだ。君も、急いで」  そんな。  僕との結婚よりも、青葉くんの命の方が優先なんですね。  あなたとはもっと、ていねいに、大切に、愛を育みたかったのに。  目の前の芳樹が、涙でにじんでいく。  唇を噛んで、怜は椅子から立ち上がった。

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