148 / 169

第二十一章 融解

「お父様! いつも僕を政略結婚の駒にしか見ていないのに、こんな時だけ息子扱いはやめてください! それに、青葉くんだって、お父様の息子です!」  怜の悲痛な訴えに、土門は怯んだ。  今まで口ごたえなどしたことのない玲が、涙ながらに訴えてきたのだ。  自分の今までの息子への言動を思い返し、唇を噛んだ。 『七浦さんとは、どうだ。巧くいってるのか?』 『もし縁談がまとまれば、双方にとって非常にいい関係を築くことができる』 『怜はどうやら、自分の役目をしっかり解っているようだな』  あまりにも怜を、資産を肥やすための道具のように扱い過ぎた。  まだ18歳の、怜。  これから進学し、社会へ出る未来も開けていたというのに。 「怜、すまなかった」  まずは、それだけ言うのが精いっぱいだった。

ともだちにシェアしよう!