154 / 169

第二十一章・7

「青葉は退院したら、土門家の戸籍に戻ることになってる。怜くんと彼は、本当に双子の兄弟になれるんだ」 「それで? 七浦は青葉くんと一緒になるのか?」 「そのつもりだけど、もう少し先にしようと思ってるよ」  青葉の実の母・妙子。  彼女の強い希望で青葉は高校に入学し、成績次第で大学にも進学する手配になった。 『それは、土門家の人間としてふさわしい教養を身につけさせる、ということですか?』 『いいえ。怜と対等な会話ができるようにさせるため、ですわ』  妙子は、この双子の兄弟が真に打ち解け、支え合っていけるようにと考えていたのだ。 「さすがは母親。先の先まで見据えてるな」 「私も、彼女には頭が上がらないよ」  紙コップに入ったコーヒーを飲み、芳樹は微笑んだ。  それは一息ついたような、穏やかな笑みだった。

ともだちにシェアしよう!