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第二十二章・2

 いいな いいな~ 青葉はいいな~♪  でたらめな歌を歌いながら、怜は青葉の額をこづいた。 「芳樹さんとお茶を飲んで、お食事をして。それから何をしたのかな?」 「やめてください、お兄様! 今日はキスしかしてません!」 「今日は? キスしか? じゃあ、いつもは何をやってるんだろうね、青葉は!」  真っ赤になってしまった青葉の肩を抱いて、怜は温かな家の奥へと彼をいざなった。  土門家は、怜のおかげでちゃんと青葉の家になっていた。  青葉の部屋まで怜はついてきたが、中まで入ることはあまりない。  入る時には、ちゃんと許可を得てから入る玲だ。  青葉の部屋は、青葉の心の中。  いきなり土足で上がり込んでいいところではない、と怜は考えていた。  その訳は、デスクに飾られた写真にある。  最近撮った、新しい土門家の家族写真。  その隣に、同じように大切に飾られた加古家の家族写真もあるのだ。  自分と違って複雑な環境に育った青葉を、怜は思いやっていた。 「でも、芳樹さんとの写真はまだ飾ってないよね。なぜ?」 「特に、理由はないのですけれど」 「僕のことを気にしてるのなら、心配はいらないよ。大学のキャンパスで、素敵な人を見つけたから」 「え!? どなたですか!?」 「まだ、教えない~」 「意地悪ですね、もう!」  こんな仲のいい兄弟の触れ合いが、日常になるなんて。  青葉は、幸せを噛みしめていた。

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