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第二十二章・3
「明日は土曜日だから、学校は休みだね。どこかへ一緒に出掛けようか」
「いいえ、お兄様。僕の通う高校には、補習があるんです」
特に青葉は中途入学だったので、担任が張り切って特別に見てくれるという。
「怪しいな、その担任。セクハラされそうになったら、すぐに僕に教えて。辞めさせるから」
「大丈夫だと思いますよ! それに、辞めさせる、だなんて乱暴な!」
僕はお兄様に予習をしっかりさせてもらったので、いずれちゃんと授業についていけると解ってくださいます。
こんな風に、青葉は担任を擁護した。
「青葉は周りの人間を、本当に大切にするね」
怜は、素直に感動していた。
そしてそれは、僕も同じこと。
僕は青葉がいてくれたから、こんなに幸せになれたんだ。
怜は、友人以上、恋人未満の准教授の顔を思い浮かべた。
芳樹とは結ばれなかったが、彼は怜を大切にしてくれる。
帝都銀行の人間ということに、色目を使わず接してくれる。
怜は、新しい恋心をしっかりと芽生えさせていた。
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