158 / 169

第二十二章・4

「でもお兄様、明日はその。芳樹さんのマンションに誘われているのですが。……泊っても、いいですか?」 「いいも何も。芳樹さんと青葉は、婚約してるんだ。自由にしていいに決まってるよ」 「お母様が、許してくださらないかも」 「二泊三日で、お母様はお友達と別荘へお出かけだよ」  じゃあ、と青葉は目を輝かせた。 「秘密にしておいてくださいますか?」 「もちろん。でも、いずれは婚前交渉を認めていただけるよう、お母様にもきちんとお話ししなくては、ね」  婚前交渉、と青葉は再び赤くなった。  お兄様には、何もかもお見通しなのだ。 「発情抑制剤は飲んでる? ピルは?」 「大丈夫です」 「まだ、赤ちゃんは作っちゃダメだよ。大学を出るまでは」 「はい」  じゃあ、と怜は青葉に微笑んだ。 「楽しんでおいで。芳樹さんに、よろしくね」 「はい!」  青葉も、にっこり微笑んだ。  怜は、思った。  神様、僕にこんなに素敵な弟を授けてくださったことに、感謝します。

ともだちにシェアしよう!