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第二十二章・5

 翌日、青葉は芳樹のマンションを訪れた。  とはいうものの、持ち物の半分以上は芳樹宅にそのままにあるし、合鍵も持っている。  今夜はディナーをご馳走するから、と芳樹は言っていたが、出かけるのだろうか。 「だったら、スーツを着て来ればよかったかな」  しかし、マンションの青葉の部屋には、スーツが何着も置いてある。  芳樹が青葉に作ってあげた、フルオーダーのスーツだ。  大病を患ってから痩せてしまった青葉には、少しぶかぶかになってしまったが。 「そんな青葉のために、今夜は私が腕を振るったよ」  芳樹にいざなわれてダイニングへ行くと、豪華な手料理の数々が青葉を待っていた。 「すごい。これを、芳樹さんが一人で!?」 「言ったろ。青葉がここへ来る前は、自炊もしてた、って」  それにしても、自炊の域を超えている。  ローストビーフに、真鯛のアクアパッツァ、手毬寿司に、ミニトマトのカプレーゼ。 「こ、こんなに食べきれません」 「デザートのチェリーパイまで、きっちり平らげてもらうぞ」  さあ、と芳樹は青葉の椅子を引いた。  楽しい晩餐の始まりだ。

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