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第二十二章・10

「あ、やだッ! 両方一度になんてぇッ!」 「イヤか?」  四つん這いの獣の姿勢で、前と後ろを同時に責められ、青葉は身悶えた。  嫌ならやめる、と本当に手を止めてしまう芳樹が意地悪だ。 「嫌ですけど……、試してみてもいいですよ」 「では、お言葉に甘えて」  いやらしく蠢く芳樹の手が、指が癪だ。  それでも、快感の方が勝っていた。    はしたなく声を上げ、息を荒げ、腰を振る自分が恥ずかしい。 「やぁッ! ダメ、もうダメ……。あッ、あんんッ!」 「これからが本番だぞ」  青葉の体内から、芳樹の指が去った。  これから何が来るのか、今の青葉には充分解かりきっている。  ただそれにわずかな怯えと大きな期待を持って、おとなしく息を弾ませていた。

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