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「ヨリヒト、いるんでしょう。お客様がおいでですよ。起きなさい。」
彼は革靴のまま部屋の奥まで進んでいく。
土足で人の部屋に入る彼を見て呆然と立ち尽くしていると、部屋の右側にあるブラインドを開けた。
「さっさと起きろと言ってるでしょう。」
ブラインドの中は押し入れの様になっていて、真ん中の木の板で区切られている。見た感じ、下は服やゴミで溢れていて、上は布団が敷かれていて中でヨリヒトが丸まっているようだ。
ドラ◯もんかよ…。
彼は、がばっ、と勢いよく布団を剥がすと、ヨリヒトを床に引きずり落とした。
ヨリヒトが落ちる時、絡まっていた布団も全て床へと落ちていった。
「あ"〜〜、いって……。カガリ…、何の用だ。」
「アキラさんが来てますよ。」
ヨリヒトはガシガシと頭を掻きながら、玄関にいる俺をぼーっ、と見つめる。ふあ、と大きな欠伸をすると、「あれ?アキラじゃん。」と何事もなかったかのように立ち上がった。
足元にある物を踏みつけながら俺の方向に歩き出し、「何かあった?」と呑気に話しかける。
「何かあったじゃねーよ。昨日連絡しただろ。」
「あー…。はは、そうだっけ?ごめん寝てた。」
あはは、と笑いながら冷蔵庫から水を取り出して飲みはじめる。ほんと、こいつは…。と頭を抱えると、スーツを着た彼が俺の前にやってきて、「あちらで待ちましょうか。」と別の部屋に案内される。
俺が自身の革靴に手を添えると「ああ、靴は履いたままで結構ですよ。」と俺の手を制止した。
「さあ、こちらです。」
「あっ、カガリお前!また土足で入りやがって。」
「こんなゴミ屋敷、土足で上がらない方がおかしいでしょう。」
「うっざ〜〜。」
「あっちの部屋で待ってますから、早く準備して来てくださいね。」
扉が閉まる瞬間、「絶対お前掃除して帰れよー。」と怒気を含んだヨリヒトの声が聞こえた。
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