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あいついつの間に…!
貸し借りを気にする関係ではないが、ヨリヒトに借りを作るのはなんだか癪だ。
また今度飯でも誘うか…。
「そっか。だいぶ待たせたのにご飯まで作ってもらっちゃって、本当にありがとね。」と伝えると「いいよー。俺暇だし!」とふざけたように笑う。
それにしてもヨリヒトの言った通り、吃音は治ってるな。
話していくうちに気にならなくなってくる。と言ってたが、まさか一日でスラスラ喋れるようになるとは。
あとは、昨日みたいな混乱を起こさせなければ、問題なく生活できそうだ。
先程のヨリヒトの件もあり、発言には気をつけよう。と自戒する。
さて、片付けも終わったし風呂にするか。
キョウヘイが着れそうな部屋着あったかな。とクローゼットの中を漁る。
そういえば、私服はほとんど着ないから実家出る時に置いてきたんだっけ。
ぽいぽいっと中に入ってる服を床に投げ出すと、一番下に高校のジャージがあるのを見つけた。
おっ。丁度いいのがあるじゃねーか。
俺は埋もれているジャージを引っ張りだした。
「キョウヘイ君、先に風呂入ってきてよ。」
テレビを見ているキョウヘイに声をかけると「はーい。」と言って風呂場へ向かう。その途中でジャージを手渡した。
「下着は一応買ってきたから、これと。あと部屋着はこのジャージ使って。」
「……あれ、このジャージって…。」
「西校だよ。知ってる?」
「なんかわかんないけど、すごく懐かしい感じがします。」
そう言って軽く微笑んだ。
「懐かしいってなんだ。現役だろ。」
「はは、そうですね。」
俺からジャージを受け取ったキョウヘイは、脱衣所へと消えて行った。
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