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その後、キョウヘイは10分もしないうちにサラダを完全させて、ついでに米も研いでくれた。
夕食の時もそうだが、キョウヘイの手際の良さに関心する。きっと前の生活でも、家事を進んでやっていた子なんだろうな。
「味噌汁は今日の残りがあるから、あっためてよそえば食べれるよ。」
「ああ、ありがとう。」
「アキラさんお風呂入ってきたら?もう日跨いじゃうよ。」
もうそうな時間か。と時計を確認すると、後数十分で0時を指すところだった。
俺はキョウヘイに促された通り、脱衣所へと向かった。
湯のはってある湯船を見て、キョウヘイの風呂が長かったことに納得する。風呂は専らシャワー派だったから、沸かさずに風呂を進めたのは、気が利かなさ過ぎたな…。
とは思いつつも蓋を開けて、俺も湯船に浸かった。
「はあ〜〜〜〜疲れた〜〜〜〜。」
湯に浸かるのなんて何年ぶりだろう。
今日一日色々なことがあり過ぎた身体を癒すのには、十分だった。ぱしゃ、とまだ温かい湯で顔を洗う。
『キョウヘイは、二人の人間を組み合わせて生み出したものなんだ。』
ヨリヒトと言った言葉が反芻する。
二人の人間、ねえ。
元の二人はどちらも高校生らしい。
一人は自殺してしまった子。もう一人は交通事故で死亡してしまった子。
自殺した方は飛び降りで頭部の損傷が激しく、事故で亡くなった方は身体が原型を留めていなかったらしい。
そこで、まだ損傷が激しくない身体と頭部を繋ぎ合わせたのが、キョウヘイだと言っていた。
あとは生命活動の維持としてヨリヒトが少し弄った。とは言っていたが…。
そうは言ってもな…。
確かにキョウヘイについては教えてくれたが、それでは何故、ヨリヒトがこの様なものを作ろうと思ったのか、そこまでして作ったキョウヘイを、そう簡単に俺に引き取らせて良かったものなのか。そう新たに、疑問が浮かぶ。
これは、俺の悪い癖だ。
変な正義感と興味で、首を突っ込まなくていい事がこの世にはある。
多分今回は、聞かない方がいい話。
昔言われた悪癖を思い出して、目を閉じた。
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