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. 回顧
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「なあアキラ。昨日の宿題やったか?」
「やったけど…。あ、お前またやってないんだろ。」
「すまん、この通り!見せてくれ〜!」
キョウヘイは頭を下げて、その前で手を合わせた。「今回は高くつくぞ。」と言ってノートを渡すと、「どんとこい!」と鼻息を荒げる。
「いや、普通にやってこいよ。」
「ははっ、どーしても寝ちゃうんだよね。」
頭を掻きながら、へら〜っと笑う。
俺は呆れた表情で、ひたすらノートを写し始める彼を見つめた。
「あれ、またアキラのノート写してんの?」
「あ、ヨリヒト!そーなんだよ。今日は高くつくぞ。って言われちゃった。」
「確かに今回の課題難しかったもんね〜。あ、ここ間違えてるよ。」
パックジュースを咥えたヨリヒトが俺のノートを指さした。
「ここの方程式、前の問題のやつそのまま使ってるから、こういった場合はこう…。」
ヨリヒトはノートの端に途中式を書き出した。
恐らく何も理解していないキョウヘイは「なるほどな。」と言って、ヨリヒトが描いた式を丸写しする。
「アキラ〜、自信満々にキョウヘイに貸したくせに間違ってやんの〜!」
「うるせえ。」
ぷくく、と口元に手を当てて笑う。
「キョウヘイ、俺のノートの方が確実だよ。」と言って自身のノートを俺の目の前で差し出した。
ほんと、嫌味な奴だな。
明らかに不機嫌な目線をヨリヒトに送ると「あれ、俺の頭の良さに嫉妬しちゃった?」と口角を上げる。
「別に。俺は文系だし。」
「あらあら。よかったらアキラも俺の回答、写してもよくってよ?」
にまにまと笑みを浮かべるヨリヒトを横目に、ふん!と言ってノートを取り上げる。
俺らの言い合いを隣で見ていたキョウヘイは「お前らほんと、仲良くしろよー。」と言って困ったように眉を下げた。
「でもアキラとヨリヒトは本当頭良いよな。俺、仲良くしてもらえるのが奇跡って思うわ。」
シャーペンを顎に付けて、キョウヘイが俺らを見つめる。
「アキラ別に、頭良くはないよね〜。」
「んな!?」
ヨリヒトの一言を聞いて、椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がるとキョウヘイが「ストップストップ!」と言って俺らを制する。
それでも煽りをやめないヨリヒトに、俺が拳を握ると「お前らほんとっ!」とキョウヘイが困った顔で笑いはじめた。
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