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. 変わる日常

『今日の天気は日中は曇りですが、夕方にはにわか雨が予想されます。傘の準備を忘れずにお出かけください。』 制服に着替えながら、朝のニュースを流し見ていた。 両親が死んでから二ヶ月。 俺は叔父に引き取られることになった。 しかし、叔父の家からだと学校が通いづらくなってしまうので、在学中は実家で一人暮らしをする事にした。 あれから時間はあっという間に進み、気づいたら秋の乾いた風が吹きこむ。 何もかも変わってしまった俺の生活は、苦難を極めてた。 すみ慣れてる実家とはいえ、やったことのない家事、バイトや課題の両立は上手くいくはずなく、毎日が時間に追われていた。くまが絶えない日々だが、良くも悪くも両親の事など考えている暇などない事が、唯一の救いかもしれない。 だが、いくら時間に追われているとはいえ、常に一軒家の一人暮らしは部屋を持て余し、俺の立てた生活音は全て虚空に消える。何か雑音がないと、両親が亡くなった日の感情が沸き上がる気がして、常にテレビをつけていた。 弁当とお茶の準備をしてリュックに詰め込むと、乾いた空気に向かって「行ってきます。」と残した。 「キョウヘイ、おはよう。」 「おはよー。」 アキラは不機嫌な顔で黒板を見つめていた。 「どうしたの?なんか不機嫌じゃん。」 「今日の放課後、進路相談なんだよ。」 机に肘をついて大きなため息を吐く。ああそうか。アキラは先生から他の学校を勧められてるんだっけ。 アキラの志望校は、県でも3本の指に入るところなのだが、どうやら先生達はもっと上のレベルを期待しているらしい。でもアキラの意志は固く、毎回担任との攻防戦が始まるそう。 「でも上に行けるならチャンスじゃない?先生も背中を押してくれてるわけだし。なんでアキラはそこにしたの?」 俺は疑問に思っていた事を尋ねた。 「先生が勧めてくるところはあまりいい噂聞かないから。それだったら少しランク落としてでも、目立った噂が立ってないところがいいなって。それと通いやすさ重視だし。あとは……、」 「あとは?」 そう聞き返すと「なんでもない。」と言ってぐしゃぐしゃと頭を掻きはじめた。 そこまで言ったなら言えばいいのに。と悶々としていると、ヨリヒトが「おはよー!」と元気に教室へ入ってきた。 「あれ、アキラ超不機嫌じゃない?生理?」 その一言でアキラの表情が一気に変わった。ヨリヒトを睨みつけると「トイレ。」とだけ残して教室を出て行く。 相変わらず余計な一言を溢すヨリヒトは、荷物を自分の席に置いてアキラの椅子に座りこんだ。

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