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面談を終えて教室に戻る頃には昼休憩が終わる頃だった。 教室を覗くと、相変わらずヨリヒトとアキラは言い合いをしていたが、何故かアキラは顔が真っ赤だった。 珍しいな。と思った俺は、こっそり背後から忍び寄る。 「わっ!」 「うわーっ!」 予想外の反応が返ってきて思わず俺も驚いてしまった。 アキラがこんなにリアクションしてくれるの滅多にないのに。その様子を真正面で見ていたヨリヒトは「あーはっはっはっ!」と指をさして大きく足をばたつかせる。 「ははっ!キョウヘイ!今アキラに触ると襲われるぞ!」 「え、どーいうこと?」 「てめえ……!」 耳まで真っ赤なアキラはまるでタコみたいだ。 ヨリヒトに釣られて俺も笑ってしまった。 「ヨリヒト!言うなって言っただろ!」 「え〜言ってないじゃん〜〜。」 ヨリヒトに向けて振りかぶったアキラの腕は空を切った。 「当たってないよーだ。」とあっかんべーをして逃げていくヨリヒトをアキラは猛スピードで追いかけて行った。 もうチャイムなっちゃうのに。 そう言いかけた口は開く事なく、俺は大人しく自分の席に着くと、直ぐに午後の授業の先生が入ってきた。

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