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. 暗雲

夕方の秋の空は、乾いた澄んだ空気が肌を包む。 ブレザーはじわじわと冷気を吸い込み、衣服が擦れるたび寒気を感じる。からからと風に吹かれて移動する枯葉が、冬の訪れを示している様だった。 俺は再び叔父に進路の話をしに行くつもりだ。 嬉しさが込み上げて温まる胸は、外気の寒さも心地良く感じていた。 「だめだ。」 開口一番言われたのはこの台詞だった。 「なんで?!だって俺、叔父さんに迷惑かけないように奨学金のかからない特待生枠を取ったのに…、確実に入れるように模試も頑張ったんだよ?!」 リュックから二枚のプリントを取り出して、叔父に見せた。眉間に皺を寄せてプリントに目を通してくれたが、それはすぐに俺に突き返される。 「前に言ったよな、就職しろと。今の時期だと遅いだかなんだか言ってるが、今頃勉強でこの結果が出せるくらいなら何故それを就職活動に充てない?」 俺は叔父の台詞に言葉を失った。 それでも、後は親の承認さえあれば大学への切符を手に入れられるところまで来ている。 俺は何がなんでも諦めるわけにはいかなかった。 「でも、ここはこの地方でも結構有名な所だし、今就職するよりも大学を出たほうが選べる職種は増えるに決まってる。お願いします、ここに行かせてください。」 俺はテーブルに両手と頭を下げてお願いをした。 絶対に諦めない。天国の両親にも報告したい。ぐるぐると渦巻く感情を胸に、テーブルにつけた手を力強く握った。

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