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「えっ、と。好きって…、そういう好き……?」
恐る恐る尋ねると、アキラは再び俯いて首を縦に振った。
「……ごめん、気持ち悪いよな。本当は卒業式の日に言おうと思ってだんだけど…、なんで言っちゃったんだろ。ほんと、ごめん。」
そういうアキラの声はか細く、「ごめん。」と何度も繰り返した。震える肩は寒さから来ているものじゃないと、馬鹿な俺でも分かった。
気が付いた時には、アキラを抱き寄せていた。
「お、俺も…!俺もずっと好きだったよ。」
ぎゅ、とアキラが震えないように力いっぱい抱きしめると、強張っていた身体の力が抜けていくのを感じた。
「俺、アキラと同じ大学に行きたくて、一年間勉強頑張ったんだ。」
膝に置いていたアキラ手は俺の背中に回り、存在を確かめるように優しく触れた。
「ほんと…、本当か……?」
「本当だよ。二年生の時からずっと、アキラが好き…!」
濡れて顔を覆い尽くす前髪をあげると、不安そうに眉を下げたアキラと目が合う。
「ふふ、そんな情けない顔するアキラ初めてみた。でも俺も、泣きそう……。」
今までせき止めていた感情が、一気に溢れ出す。両親の事も叔父の事も、これからの進路も、全部全部蓋をして抱えこんできた。
でも、アキラと気持ちが通じ合えた。
それだけで十分だ。
涙を流しながらアキラを抱きしめると、鼻を啜る音が聞こえてくる。ぐっ、とアキラの腕にも力が篭り、服越しにお互いの体温が伝わってきた。
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