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自宅にたどり着いた時には、呼吸するのもやっとな程憔悴し、引きずていたリュックの底は破けていた。 扉を開けて玄関に倒れ込むと、張り詰めていた意識がぷつりと途切れた。 限界だ。何も考えたくない。 瞼に焼き付いた叔父の顔は、思い出すだけでも恐ろしかった。 『兄貴と一緒に死ねばよかったのに。』 『死ねって言ってんだよ、このホモ。』 叔父の台詞が頭の中でこだまする。 掴んだ幸せは叔父の手によって全て壊されてしまった。 ひゅー、ひゅー、と浅く掠れた呼吸で両親に問いかける。 もちろん返ってくるはずもなく、小さな呼吸音は虚空に吸い込まれていった。 父さん、母さん、俺もそっちに行っていいかな。 両親が生きていた時から、親戚の付き合いは薄かった。叔父とまともに会話したことはなく、初めて話したのは両親の葬式。引き取られた時から、叔父は冷たい態度をする人だった。元々この様な人だと思っていたが、俺にとるそれは紛れもない嫌悪。 一歩彼に歩み寄れば、相手は武器を持って攻撃する。 でももう、そんな事どうでもいいや。 人間は、感情のキャパシティを超えると何も感じなくなるらしい。 俺を包む闇は、心の中に現れた衝動を徐々に大きく膨らませていった。

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