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目を覚ますと、室内は明るくなっていた。
そんなに寝ていたのだろうか。醒めきらない頭を働かせながら眠る前の記憶を思い出す。
叔父の家から帰って、そのまま倒れ込んでそれから……
記憶がここで途切れていることから、寝落ちしてしまったのだと分かった。
重たい身体を持ち上げて、ポケットからスマホを取り出すと、もう学校に行かなければならない時間だ。
俺は激痛で言うことを聞かない身体を無理矢理動かし、洗面所へと向かった。
ぼさぼさの髪を掻き分けて鏡を見ると、今まで見たことのない自分の姿が写っていて思わず声が漏れる。
「うわ、ひどいな……。」
顎は紫に腫れ上がり、右頬は大きな擦り傷ができている。
ずきずきと痛む横腹は緑や紫、茶色が混じった様な、見るだけでも痛々しい痣となっていた。血と涙と唾液が付いたまま乾燥した肌は、所々赤黒い模様を着けている。
見るに耐えない姿からすぐ目を背け、さっさと浴室に入った。砂利のついた傷口を洗い流すと、じわりと血が滲み出し、昨日叔父から振われた暴力の悲惨さを物語った。
浴室から出ると再び血が滲まないよう、すぐに大きめのガーゼで傷口を覆って制服に着替える。よく見るとあちこち破れやほつれが見られるが、今はそんなこと気にしている場合ではなかった。
俺は穴の開いたリュックをそのまま背負って、自宅を後にした。
「ええっ……、ちょっとキョウヘイ、それどうしたの?」
教室に入って早速、ヨリヒトが俺の顔を見て驚愕する。
それもそのはず、俺の顔は皮膚よりもガーゼと絆創膏が占めている範囲の方が多い。
心配して頬のガーゼに触れようとするヨリヒトの手を、俺は思わず振り払ってしまった。
「……!」
「……っあ、ごめ……。」
ふと我に返るとヨリヒトは「全然。」と言って、俺の肩に手を置いた。
「俺は、キョウヘイの味方だからね。」
ぐ、と肩を掴む力を強めた手は、すぐに力を失ってだらりと落ちた。
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