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「それじゃキョウヘイの傷は叔父さんが関係してるって事?」
「多分ね。」
「ふーん……。確かに知らなかった話がいくつかあるな…。」
一通り説明し終えた後、アキラの表情が曇る。
先日あれだけキョウヘイの事でアキラをからかっておいて、実は俺の方がキョウヘイに詳しいなんてこれほど嫌なマウントはないだろう。
俺は真っ直ぐにアキラを見つめて謝った。
「ごめん、隠すつもりじゃなかったんだ。」
「別に。俺じゃ頼りないからヨリヒトに頼ったんだろ。」
「そう言うことじゃ……!」
咄嗟に前のめりになって否定すると、アキラが俺の動きを制すように顔の前に手のひらを向けた。
「でも俺もお前にまだ言ってなかった事がある。」
「……なに?」
視線をアキラに向けると、ふい、と逸らされる。
逸らされた顔から覗く耳は僅かに赤い。
まさか……
「……昨日、キョウヘイに告白した……。」
先程の声量とはまるで違い、呟くような声でそう言った。
「……上手くいった?」
「まあな……。」
分かりやすく顔を隠すアキラに安堵の息が漏れた。
なんだ、俺が心配する程の事でもなかった。
そう感じた途端に肩の力が抜ける。
「よかったあ。ま、俺のお陰だけどね〜。」
「お前は本当に一言多いんだよ。」
ごつ、と握り拳を肩に当てた。
「痛いなあ。今の割とガチだったでしょ。」
「これでチャラにしてやるよ。」
そう言って笑うアキラの顔は、いつもキョウヘイに向ける時の様に柔らかかった。
「締まりのない顔……。」
「何か言ったか?」
「別にぃ〜、アキラには関係ないし〜。」
思わず漏れた心の声を誤魔化すため悪態をつくと「お前なあ」とぴくりと片眉をあげる。
「まあまあそんな怒んないでよ。俺は大好きな二人がくっついてくれて嬉しいよ。」
「……なっ…!」
ぼぼっ、と途端にアキラの顔が赤くなる
ほーんと、からかいがいのある奴
「はいはい、惚気は今度聞いてあげるから、キョウヘイ探しに行くよ。」
「お前のその、息をするようにす、好きって言えるとこは尊敬するよ……。」
「え?もう一回言って?俺のどーいうとこが尊敬するって?」
「っだーもう!嘘だ嘘!黙れ!」
「つまんないの〜でもそんなアキラも大好きだよ〜。」
「……〜っ、うるせえ!とっとと探しに行くぞ!」
照れ隠しでガシガシと後頭部を掻きながら先に歩いて行くアキラの背中を見ていると、いつの間にか口角が上がっていた事に気づく。
ほんと、表情豊かで不器用で、一生懸命なところが好きだよ。
それは伝える必要のない本音だ。
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