吏紀は楓真の後孔に指先を軽く沈め、くるくると撫で回した。吏紀に跨っている楓真の足は自然に開かされているため、いとも簡単にその行為を許してしまう。 「前も弄る？　元気ないねぇ。ここ、気持ちいいでしょ？」 　もう片方の手は、下着の上から萎えたままの楓真のそれを軽く握り、反応を楽しむかのように弄り回した。心とは裏腹に、じわじわと快感を与えられ息が上がる。悔しさと情けなさに、このまま快楽に溺れてしまえば楽なのだろうな、と楓真は少し投げやりになった。 「ほら……ちょっと弄ればいい反応するじゃん。勿体ぶらなくていいからさ、可愛いところ見せろよな」 　再びキスをされそうになるのを顔を逸らして回避する。そのまま吏紀の肩に顔を埋めるようにして楓真はグッと唇を噛んだ。体は許しても、嬌声を漏らすなどしてたまるか……そんな僅かな抵抗心から、顔を強張らせ息を詰めた。 「なあ楓真君、自分で挿れてよ。準備万端だよ？　ほら、すぐにでも入っちゃいそう……いいよ？　おいでよ」 　腰を浮かせと吏紀は楓真の腰を掴みグッと押す。渋々自らそこにあてがい、楓真は腰を落としながら息を吐いた。みちみちと押し広げられる感覚に、背中の辺りがゾワっとする。過去には幾度となく繰り返されてきた行為なのだろうが、記憶があやふやな楓真にとっては、挿入されるのはあまり慣れておらず怖いとも思う。相手が千晃ではないのも尚更だ。意に反して吏紀に縋り付くように抱きついてしまうのも仕方のないことだった。 　満足げな吏紀の顔を見たらやっぱり違和感が湧き上がり、楓真は行為を止めその場から離れようと体を離した。 「あ？　早くしろよ、何やってんの？」 「いや……やっぱり嫌だ」 「いいんだよ、やれよ、犯すぞ！」 「んっ！」 　突然の大きな声に加え、乱暴に胸元を突かれ体が強張る。瞬時に沸いた恐怖心に胸の動悸が激しくなった。自分の後輩、歳下で指導もしていた吏紀に対し、なぜこんなにも萎縮してしまうのかわからない。萎えてしまったそこを再び吏紀に扱かれながら、楓真は仕方なく言われた通りに腰を下ろした。 「え？　ちょっと待って？　泣いてんの？」 「泣いてない……」 「嘘、泣いてるじゃん。可愛いね」 「んっ……あっ、やっ、あ……んっ」 　じれったいと言わんばかりに吏紀は腰を掴み、強引に楓真を揺さぶり下から激しく突き上げる。お互いの汗ばむ肌、容赦なく挿入を繰り返す熱い滾りが卑猥な水音を立てる中、吏紀の荒い息遣いと楓真から漏れる小さな嬌声が部屋に響いた。