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2-けもの道(6)
「あー、えっと、わりぃが二人ともそこでちょっと待っててくれ。片付けが終わってねぇんだ。すぐやっちまうから」
そう言うと、琉夏は一人先にリビングに入ってドアを閉めた。
でも、ドアには硝子が嵌まってるから、中の様子は見てとれる。
ふふ。俺がさっき妄想してた通りみたいだ。
床から雑誌みたいなのを拾い上げて抱えてる。
あは。ソファに脱いだ服置きっぱなしだったんだね。
そんなに散らかってる訳じゃないし、わざわざ片付けなくても大丈夫なのに。
意外と律儀なところがあるんだな。
「うーん、えっと、西嶋さん、さぁ。琉夏との付き合い長かったりする?」
ふと秋さんに聞かれた。
「いえ、会社で異動があって初めて知り合ったんで、半年経つか経たないかってくらいです」
「そーなの? ふーん。……あ、いや、変な意味じゃなくて、なんか僕、西嶋さん知ってるような気がするんだよね。でもそうか、気のせいか……」
「どっかですれ違ったのかもしれないですね。俺、髪とか目とか目立つので」
「うーん、そうだねー」
うんうんと二人頷きあっていると、琉夏がリビングに通じるドアを開けた。
「すまん、待たせた。結局まだ散らかってっけど、入ってくれ」
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