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第3話

 何度目かの絶頂の後、のしかかられていることに気づく。  それは指や腕や舌だけでなく、身体を手に入れていたのだ。  見えないけれど。  熱い肌を素肌に感じて、ゾッとする。  重たい生身の身体。  見えないし、はらいのけようとしても僕の手には何も触れないのに、のしかかられている身体の重みと、肌の熱さだけはリアルだ。  ソイツがとても大きいのはわかった。  身動きとれなくなるほど大きくて強いのが。  でも、こちらからは触れられない。  そして、股に堅いものが押し付けられた。  ゴチゴチに硬くて、熱くて、濡れてるソレ。  何なのかはすぐにわかって、悲鳴をあげた。  デカすぎるそれ。  ソレは・・・勃起した性器だった。  こんなサイズが存在するなんて。  コイツが僕に性欲を感じているのはずっとわかっていたけれど。    今までソイツが触れてこなかった部分に手を伸ばされた。  何度も何度も達した僕の性器。  握り込まれ、扱かれた。  大きな指は巧みで、また胸を舐められるから、僕は声をあげて放ってしまう。  でも、それだけではすまなかった。  腰を掴んで持ち上げられた。  見えない腕に支えられ腰だけが浮く。  脚を担がれた。  胸の一部と顎と肩だけが床についている状態だ。  床に爪を立ててしまう。  これ以上身体を持ち上げられたくなくて。  そして、尻を割開かれた。  熱い息をそこに感じた。  舌が、尻の肉を舐めて、味わうように噛まれた。  「ああっ」  思わず声をだしてしまう。  尻の間に見えないソイツが顔を埋めているのがわかって、恐怖した。    何をする、何もをするつもり・・・。  尻を振ったのは払いのけたくて。  でも、それは誘うように、うごめいていたようにみえたかもしれない。  もちろん僕から振り払うことなんか出来ない。  尻を持ち上げ、抱えられたまま、尻の間に顔をうずめらたソイツが始めることを止めることも。  その執拗で、繊細に、残酷に動く舌が、そこを舐めたのに。  僕の。  僕の。  アナルを。    「嫌だぁ・・・そんなとこ舐めるなぁ・・」  僕は絶叫した。  だけど、そんなことは無視されて、大きな強靭な舌が僕のそこを濡らし始めた。  襞の一本一本を伸ばすように、しっかり舐められ、身体が震えた。  熱く濡らされ、教え込まれる。  固く窄まったここは溶けるところだと。  何度も何度も執拗に舐めては舌でつつかれた。  そして、舌でほじられていく。  穴を。  「ほじらないで・・・そんなとこほじらないで!!」  僕は懇願する。  でもやめてくれるわけがなった。  穴から性器につながる会陰のところまで舐められて、もうガチガチになっている僕の性器から、ボタボタと雫が垂れるのがわかってしまう。  舐められる度に、性器が震えてしまう。  そこを直接触れられていないのに。  熱い舌。  熱い唾液。    信じられないことに、僕のそこははほころんでいく。  次第に僕の穴は舌を受け入れていく。    もう穴の中の縁を舐められていた。  熱くて溶けそうで、また先から液をしたたらせ、僕は身体をふるわせた。  喘いでしまう。  身体の中が熱で一杯になるから。  出さないと熱が溢れてしまう。  「嫌だぁ!!」  叫んだのはその熱さに自分が溶けてしまいそうで怖かったのと、今さらながら友達の視線に気づいたから。  呆然と目を見開く友達の目に、自分がどう見えるのかが、恥ずかしかったから。  「やめてぇ!!」  叫んだ瞬間、舌は深く差し入れられた。  中を溶かすために。  それを教え込むために。  舌が中でのたくる。  自分じゃないものを身体の中に受け入れている。  長い長い舌が、そこを濡らす。  熱い。  溶ける。  嫌だ。  恥ずかしい。  「嫌ぁ!!」  僕は首を振って叫ぶ。  友達が駆け寄る。  濡らされ広げられる穴の上にあるはずのソレの頭をのがそうとするけれど、何もできない。  友達は見えない舌に広げられる僕の穴と、見えないからこそ、広げられた中で、蠢く内部を見る。  見てしまう。  見られてしまう。  そそり立つ僕の性器も。  ソレの指が食い込む僕の尻の肉も。  嫌だと言いながら涎と涙をながし蕩けきった僕の顔も。  「見ないでぇ!!」  叫びながら射精する。  友達の顔にそれが飛んだ。  頭が痺れる。  気持ちがいい。  いいけれど。  ここで終わるはずがなかった。  だって。  最初は歯と舌と指だけだったソイツは。  見えないことも、こちらからは触れないことも変わらないけれど、僕の尻や腰を抱え込んだ腕だけじゃない、他の部分も今は感じとれるようになっていた。  尻に鼻があたり、唇や歯の他に頬肉や顎の存在がわかる。  脚の先に分厚い肩が当たる。  こちらからは触れないないのに。  確かにコイツは昨夜より実体化していた。  「・・・どうすれば、どうすればいいんだ!!」  友達が叫ぶ。  ああ、どうしようもない。  こちらからコイツに触れることができないんだから。  「見ないでぇ・・・」  僕はせめてもの哀願をした。  友達に。  友達に。  この先を見られたくなかった。    身体に触れるのを感じたデカい性器を思った。  僕は。  犯される。    あれで串刺しにされて。          

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