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第6話
友達は泣いていた。
それは覚えている。
のしかかり、抱え込まれ、貫抜かれていた見えない何かの身体が消えて床に投げ出された僕。
そんな僕を泣いている友達が抱きしめたのだ。
そこでやっと意識を失えた。
でも時折目を覚ましたような気もする。
風呂に抱えられてつれていかれたような。
友人の指が穴から大量の精液を掻き出し、シャワーで流していたような。
何度も何度も髪を撫でられ、いつも泊まる時寝かされる床ではなく友人のベッドに横たえられたような。
泣きながらそっと何度も唇や頬にキスされたような。
全部が遠く感じた。
でもわかってた。
わかってたから、一言だけ伝えた。
「助けて・・・また、来る、きっと」
それだけを夢うつつのまま。
また、犯される。
また何度も何度も何度も。
今度はとうとう僕は壊れてしまうかもしれない。
でも、誰に助けを求めればいい?
あんなもの。
見えない触れられないもの。
そんなものからどうやって?
誰に?
でも、助けて。
助けて。
「わかった・・・わかった・・・」
友人は泣きながら僕にキスをして、泣きながらどこかへ電話を始めた。
アチコチに電話する友人の声と、その間にされる優しいキスと、握られる手。
それにたまに目覚めながら僕は眠った。
夜が来るのを恐れながら。
ふと気付く。
僕は。
キスだって女の子とまともにしたことなかったんだってこと。
でも、友達とのキスは嫌じゃなかった。
癒やすように撫でられる指も。
握られる手も。
だから。
うとうとと眠りの中へ逃げていった。
また犯される。
あれが夜に来る。
乳首を性器に。
後ろの穴を性器に変えられて。
気が狂うまでおかされる。
それがとても。
怖かった。
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