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第8話
「親父の作った札だ」
その人は言った。
仏像の前にある住職が読経するための一段高くなった場所。そこを囲むように4つの柱があり、その柱一つ一つに札は貼られていた。
結界だという。
「この子に執着しているヤツに効くかはわからないが・・・」
その人は僧衣を着ていた。
数珠をもち、経を手にしている。
「経くらいは読めるからな。これも効くかもわからんが」
その人はため息をつく。
「今、オレでは無理だから、専門家を呼んだ。ソイツが来たら何とかなるかも知れん。来てくれるかどうかもわからないがな」
その人はまたため息をつく。
全く自信がないのはわかった。
だか、なんとかしてくれようとしているのはわかった。
僕はおずおずと頭を下げた。
僕は友人に抱きかかえられ、読経する座の前に座っていた。
この2日の酷い責めに身体はほとんど動かない。
寺の息子さんが呼んでくれた医者がしてくれた点滴で水分と栄養だけはとれたけと、正直、もう動きたくないし、何も感じたくない。
もう一度アレが始まったなら。
またずっとずっと、犯されイカされ続けたのなら。
僕は死んでしまう。
それはわかった。
心も身体も限界だった。
セックスし過ぎても人は死ぬ。
それを現実として僕は感じていた。
かさつく唇を撫でられた。
友達が泣きながら唇を撫でている。
キスして欲しいと思った。
怖くてたまらないから。
夜明けまで、僕の正気を繋いだのは友人のキスだったのだ。
それがわかったかのように友達は抱きしめてキスしてくれた。
暖かい胸に顔をうずめ、優しい舌に溺れる。
友達とこんなことをしている。
なんかおかしいのはわかってる。
でも、どうでも良かった。
しがみつけるのが、友達だけなのだ。
犯され踏みにじられた心が、優しいキスを必要だと叫ぶのだ。
「大丈夫だから、大丈夫だから・・・」
キスの合間に囁かれた。
うんうん、と僕も自分を納得させるように頷く。
もうすぐ、夜更けがくる。
アイツが。
アイツがくる。
「嫌だぁ・・・」
僕泣きながら友達の手を自分の胸に押し付ける。
硬く凝った乳首をその手のひらに押し付ける。
「アイツに触らせないでぇ・・・ここも・・・」
僕はもう硬くなってる性器を友人の腹に押し付ける。
「ここも・・・」
僕は友達の太ももの上で腰を揺らし、穴を感じた。
昨日まではただの排泄器官だった場所を。
友達は泣いた。
ポロポロ泣いた。
僕の身体がもう。
前とは変わってしまったことを知って。
お寺の息子さんが、僕達を難しい顔をしてみていた。
だけど、キスを繰り返し、互いの身体をこすりつけあう僕達に、何も言わなかった。
友達は僕の乳首を優しく撫でたり、僕と性器を服の上からこすりつけあったりしたのに。
「やれるだけのことはやろう。【専門家】が来てくれるまで」
息子さんは、仏像の前の座についた。
読経が始まる。
僕と友達はキスをし、身体をこすりつけあっていた。
これから起こることを恐れながら。
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