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第9話
読経が響くその中で、それでもそれは始まった。
友達に抱きついていた身体が引き離された。
乱暴に。
でも。
前の夜とは違って、リアルな熱い肉体を感じない。
肩をつかんで引き離す指や手を感じはしたけれど。
友達は僕を引き戻そうとした。
だけど、やはり触れることが出来ないものを振り払えない。
でも、昨夜ほどの肉体のリアルさはない。
指や吐息を感じはしても。
寺の息子は僕達の騒ぎに動じることなく、途切れることなく読経を続けていた。
床に背中を押し付けられるように倒された。
無理やり見えない指が口をこじ開けた。
噛もうとしても、その指は歯をすり抜けるのに、その指は僕に触れることは出来る。
デカい指。
人間にしてはでかすぎる指。
口をこじ開けられ、指で歯列を撫でられた。
ゾワリ、背中に悪寒が走る。
その指にあの執拗さを感じたからだ。
僕の身体を変えようとする、あの執念を。
指が喉の奥へ伸ばされ、僕は激しく餌付いた。
「うぐぅ、うげぇ」
僕は悲鳴さえあげられない。
指が口の中を無遠慮に蠢くから。
シャツが捲りあげられるのがわかった。
この2日で散々嬲られた乳首を摘ままれた。
「うぐぁ、うぎぃ」
嫌だ、嫌だと言おうとしても、声がでない。
口の中に指を挿れられたまま、僕は涙を流す。
だって。
そこをコイツに弄られたならもうどうなるのかは知ってたから。
摘ままれ、指ですり潰された。
痛みが走り、それは甘く脳と性器を焼いた。
胸の周りをでかい指で捏ねられる。
手の平で揉まれ、その肌の熱さに焼かれ、指で潰される痛みの甘さに酔った。
「ぐふぅっ」
出る声を口の中で指でかき回され消される。
指は丹念に舌を擦り、口蓋をこすり、歯茎まで撫でたいく。
友達としたキスの甘さを思い出させられる。
グチュグチュに擦られ、かき回される。
顔が揺すぶられる。
指で弄られていた、乳首が舌で舐められた。
僕の背中が反る。
ダメ。
舌はダメ。
舐められたなら・・・もっとおかしくなる。
舌は焼けたヤスリみたいだった。
舐められたなら、身体か何度も痙攣してしまう。
舐められ、中で貫かれた記憶が蘇る。
身体が、あの状態にされてしまう。
何度も何度もイカされたあの感覚が。
僕はキツくなったズボンの中で射精した。
コイツに触れられたら、僕は僕は僕はまだ射精出来るのだ。
恐らく死ぬまで。
射精しながらグチュグチュにかき混ぜられる口の中で、何かが生まれていた。
グチュグチュ
グチュグチュ
擦られる感覚。
穴の中で擦られる時のあの感覚と似た何かが口の中にあった。
イカされる。
イカされる。
口の中なのにイカされる。
口の中さえ性器に変えられる。
僕の悲鳴は指に塞がれ出ることはない。
喉近くを擦られる苦しささえ、広げられ貫かれる痛みが快楽に変わるように、快楽になっていく。
「ぐうふっ、ぐう!!」
嫌だ、嫌だ!!!
僕は叫んだ。
こんなヤツに快楽を与えられたくない。
嫌だぁ!!!
でも僕は、口の中を指で犯されるだけでイっていた。
またズボンの中に性を放つ。
死ぬ。
死んでしまう。
身体より心がつらい。
嫌だ。
嫌だ。
僕は床に引き倒され、指で口の中を見えない化け物に犯されていた。
それに快楽を得ていた。
心がちぎれそうだ。
壊れそうになる心を繋いだのは、握りしめられた指だった。
友達が嗚咽しながら、僕の指を握っていた。
逃げないでずっといてくれた友達が、まだ逃げないでいてくれた。
口の中を弄られ、乳首を舐められ、ガクガクと身体を震わしながら、僕は縋るように友達を見つめた。
友達は心を決めたように頷いた。
友達は僕のズボンを脱がせ始めた。
僕を助けるために。
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