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第14話

 目覚めた時、寝る前と同じように友達に抱きしめられていた。  僕も友達に抱きついていた。  男の胸に顔をうずめて眠るなんて、思いもしなかったけれど・・・悪くない。  まさか、友達とそういうことをすると思ったこともなかったし、それについて考えることを脳が拒否しているけど、身体は友達を受け入れていた。  いや、文字通り受け入れていたんだけど。  何度も何度も友達が僕の中で放った感触を僕は覚えている。  熱く何度も僕の中を濡らした、その感覚を。  点滴を打たれていた。  医者は僕たちを気味悪そうにみていて、さっさとここから立ち去りたがっているのもわかった。    「何も聞きたくない。何も言うな。親父さんも大概だが、お前まで妙なことに関わりやがって」  何か言いかけようとした息子さんに医者は吐き捨てるように言った。  そして、点滴が終わり次第出て行った。  僕を見ようともせず。  僕はぼんやりと天井を見上げた。  本堂の中だった。    昨夜は始まってしばらくだったから、僕は生き延びた。  また来たら、またされたなら、これが続くなら。  僕は死ぬ。  ヤりころされる。  化け物に身体の全てを性器のように変えられた。     また口の中を犯してのまされる。  あの大きいのを。  喉まで挿されて。  後ろの穴から、腹が膨らむ位につらぬかれて。  たっぷりと奥に出されて。  乳首を噛みほぐされ、舐め溶かされる。  ああ。  嫌だ。  考えただけで疼く穴が。  熱くなる性器が。  乾く口が。  嫌だ。    僕は友達にしがみついて、身体をこすりつけた。   欲しくなってしまってる。  こんなに弱っているのに。  眠る友達の身体の上で悶える僕を、黒ずくめの男と息子さんは黙って見ていた。  友達の身体に僕は着せ替えられていたパジャマのズボンをずらし、性器を直接こすりつけた。  友達のパジャマもずらして。  友達の性器と自分のを擦る。  気持ちが良かった。  でももう勃起さえしない。  でも何度も何度も、擦りつけたなら、出さないでもイケた。    「ううっ・・・ううっ・・・」  僕は泣く。  僕は。  僕の身体は。  もう、おかしい。  「アイツらの花嫁になるように身体を作り替えられてるんや。もう、大方出来上がってる。あんたはめちゃくちゃに犯されずにはいられない身体になってもうた。もう治らん」    黒すくめの男が、少し優しい口調で言った。  「普通の生活は難しいやろ。ここからは毎日毎日、自分を犯してくれる男が必要や」  男が言う言葉の意味がわからない。  「あんたは『屍肉喰い』に惚れられたんや。あんまり男が惚れられることないんやけどな。人間の死体を好む連中で、大概は放置された人間の死体を好んで喰う。でも、奴らは雄しかいなくてな。普通は人間のメスを番にする。花嫁にするんや。ちゃんと手順は踏んでくるんやぞ。3日通って同意をとる。同意がとれたら連れて帰って、しぬまで大事にする。奴らなりにな」  男は好ましい生き物について語るような口調で言った。    「ちゃんと手順???」  僕は叫ぶ。  嫌がる身体を舐めまわすところから始まったんだぞ!!  「でも気持ち良かったし、最後は自分からしてくれって思わんかったか?人間とはちがって、番の相手の快楽を優先するぞ。人間の倫理と奴らの倫理は違うけどな。とにかく、あんたが感じてイクことだけが奴には大事やからな」  男は何故か化け物の肩をもつ。     でも。   確かに。    イカされ続けた。  ずっと。   ずっと。    僕の快楽を引き出し続けた。  絶え間なく。  「骸喰いがどこであんたを見初めたんかもわからん。だけど、もう求愛は始まってる。もうほぼ終わりつつある。あんたはどうする?奴の求愛を受けるか?」  男に言われて戸惑う。     なんでそんなことを聞く?  なんで求愛とやらを受けると思うんだ。      この僕が。  「まだわからへんか」    男はため息をついた。    

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